【REBORN】清く正しく貴方の傍に立てなかった

+１５１+自由な彼 ページ6

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赤ん坊くんの顔に陰りが出来たのに気付きつつ
見なかった、気付かなかったフリをして再度、口を開いた



『私は…私の存在を生かしてくれる彼に尽くすことで自分を生かす
表向きでは彼のために行動している、が実際は私の為でしかありません

忠誠でも、忠義でもなく、恩返しでもない。


これは、巳國Aという存在を肯定するために
私は恩人である彼を利用している。と、言えるのかもしれない…

それでも、彼はそれを知ってか知らずか、私を傍に置き続けて下さる



口に、言葉にすればする程…歪ですね。』





初めて誰かに、胸中を曝した



いや、これは赤ん坊くんに向けて吐露したように見せているだけ

実際は私が黒曜で「彼から離れなければ」と思ったのを切っ掛けに
自分自身のおかしさを見つめ直しているに過ぎない。


これでいい、と口にしてきたのは
向き合わなくちゃいけないと気付てしまった自分を殺すため

…でも、歪だと言われる部分を自分に言い聞かせるように口にしていく


それだけでもう、子供騙しな
「これでいい」という呪文は効力を失い始めているのに気付く



…で、きっと目の前の小さな存在は先程から
私が葛藤を抱えている事、その一歩を踏み出せないでいる事も気付いてて
私の口が回るように小さなアプローチを仕掛けている

私が他人の表情や仕草、人柄なんかで深読みするのを分かってる
故に直接的ではなく間接的に、私に自分でどうにかさせようとしている


良くできた家庭教師様だ。


誰かの手の平で踊るのは嫌いだが
私自身の整理のため、利害の一致ということで目を瞑り続けた



「歪と言いながらも、続けていくつもりなのか？」

『…どう、なんでしょう』



視線は自然と落ちた。
その先では沢田くんが時々唸りながらまだ眠っている。

彼を見ると彼の急激な変化を思い出す。
今回の一件では特に。彼の「成長」を強く近くで感じたな…


…それを見て、羨ましいとも思ったし情けなくも感じていた


彼の「成長」は強さだけじゃない、中身の伴う成長だ
故に彼の周りには人が集まったんだと思う

「ダメツナ」は立派な「沢田綱吉」という人柄に変わった


…対して私は武術としての力だけ伸ばし、中身と向き合うことはしなかった
そのツケが来たな、とヒシヒシと感じている



７年もこうやって生き延びてしまった

でも、




『本当の意味で彼にとって役立つ存在でありたい
彼に寄りかかり生きるのではなく、彼が許す限り横に立てるよう


自由な彼の枷にならないように』

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