+１５４+ただの恩人 ページ9
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恭弥さんを探している間にこんな……
自分自身を省みる様な機会を受けるとは思ってもみなかった。
そう思いつつ、赤ん坊くんに一言挨拶をして病室を後にする
そして、私が最初にいた部屋から見て最奥。
他の病室と並ばず視界には映るが少し離れた位置にある扉を
音を立てぬように、彼の眠りの邪魔をしないように横へズラした。
視界に広がる光景は他の病室と特段変わった場所はないが
彼の眠りを守るかのように一層穏やかな日差しが差し込み、気持ちがいい
私の見立てでは恭弥さんと獄寺さんは今回の事件の関係者で
一、二を争う重症患者だったが、恭弥さんの方はもう安定した為だろうか？
ベッドサイドモニタの姿はなく機械音すらしていない。
まぁ、あればあるで回復している現在では起こしかねないし
ここの病院の人…が居るかは不明だが、その判断は正しいかったと思う。
『……。』
彼は、雲雀邸においても応接室においても私が近付いても起きない
正確には手の届く範囲ギリギリまでは、だけど。
部屋に入る、傍による程度なら音さえ立てなければ起きないのだ。
それ以上の距離は私が細心の注意の払い
気配を消す努力をし、接触さえしなければ起きない。
これを信頼という
私は今この世に生きる人間の中では最も信頼されていると言えるだろう
それはさておき、彼の状態を確認するように彼の身に視線を巡らせるが…
流石といえばいいのか、もう処置は軽度のもので
頬に絆創膏が貼られていたり腕にガーゼが包帯で固定されていたりで
シャツの間から見える肩の包帯も、そんなに重ねている様子はないが
そこから血が滲んでいる様子もなく、傷はだいぶ塞がっているようだった。
静まり返る空間に「はぁ…、」という安堵の息が溶ける
今回の一件で認識を改めた
彼は揺ぎ無い「絶対」ではなく、ただ一人の「人間」であり
危ういと感じさせる部分が確かにある
きっと恭弥さんからしたら今回の１度目の敗北は
屈辱的であり、認めたくないものであったかもしれないが
私にとっては向き合うべき事項を目の当たりにした、とも言えた
神様なんていない
あの時確かにそう思い、ありもしない心の拠り所を…
そんな架空の存在を肯定する世の中すらも憎らしく思っていた私が
その一方で恭弥さんを神様に近い「何か」のように思っていた。
でも、目の前の「人」はそんな私のための虚像ではなく
ただ一人の、私の恩人だった。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
