+１９１+僕が望んだ姿 ページ46
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side Ｋ．Ｈ
昼時に別れた彼女はやたら疲れたように見えた。
彼女は他の女生徒やその辺の草食動物に比べれば体力は十分に持ち合わせている。
そういった能力的な体力というよりは、精神的に疲れているように見えた。
僕から見ても彼女は冷静沈着、その言葉そのものだった。
そんな彼女が慌ただしく家屋を走るのは、おそらく初めてに等しい。
珍しいものを見たと思い、原因を考える。
巡らせた視界に入ってきた卓袱台には
ほとんど食器棚から動くことがない客人用の湯飲みと彼女の湯飲み。
珍しいことといえば、僕の方にも赤ん坊の知人とやらが来た。
あの男は“指輪”がどうとか言っていたな。
そして彼女のもとにも同じものが届いていた。
「来たんでしょ、君のところにも、誰か」
気を使ってか、風呂の準備に向かおうとする彼女を呼び止め
自分でやるからいいと断れば、申し訳なさそうにする
…別にすべて至れり尽くせり何もかもをこなせと言った覚えはないんだけど。
むしろ、その申し訳なさそうな表情にうっとうしさすらあった。
視線を泳がせたAはあの男から話は聞いたのかと問う。
そういえば、そんな名前だったか。興味がなかった。
むしろ社交的とは言えない彼女があの男と知人だったことが意外だった。
情報処理は彼女に任せてしまえば問題は、まぁ無いだろう。
当面の楽しみはできたし、この指輪にも少しくらい価値はあるかもしれない。
『…追々ちゃんと、お話は伺ってくださいね。』
その言葉にはいろいろ含まれていそうで
その目は訴えるようで、その表情は苦々しく
「お話」とやらであまりいい思いをしなかったのは見て取れた。
変な顔をしていると言えば
少しだけ自分の頬に手を添え押さえるような動作をして
困惑したように眉間にシワを寄せていた。
『捨てられない、理由が出来ました。』
「…理由？」
先程までの覇気のない声とは違い
声量がないのに、芯のある声に変わっていた。
見つめた先の彼女がふと、顔を持ち上げ視線を交えた。
その唇が紡いだ彼女の意思表示は僕の意思が関与していなかった。
全ての決定に僕の意見を仰ぎ、僕の意思を含め考えてきた。
『あとで、なにが起きようと
自ら考え、自分で決めた選択を恥じないよう尽力しようと思います。』
そんな彼女がこう言い放ち、僕を見つめた。
初めて、僕は「巳國A」の言葉を聞いたのかもしれない。
その様に高揚した。
望んでいた形に…もっと彼女が強くなりそうで。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
