+１８２+心躍る瞬間 ページ37
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「！ …ふふ、気になりますか？その模様」
風くんは先程までの表情とは変わって少し柔らかな表情を浮かべている。
その優しい目と笑みが、幼子へ向けるそれに近くて少しむず痒い。
あやされるような年齢じゃないし、見た目だけなら君は向けられる側だろう。
「もし、それについて先に問いたいことがあるようでしたらどうぞ。」
彼は赤ん坊くんとは異なり、コロコロと表情、視線を変えていく。
少し前は悲しげ、つい今しがたは可愛がるような…そして今は試すような。
ここで私が話の核に触れられるのか、私の視点がどこまで捉えているのかを見ようとしている。
自身が説明する予定だから私が見誤っていても構わないのだ。
だからこそ「その目」なのだろう。
だからこそ彼の口元は「弧」を描いているのだろう。
少しばかり煽られている感じすらするが…とにかく私が気になることを問おう。
疑問点が残ったまま話をされるよりはずっとマシだ。
『今朝、恭弥さんに届けられた指輪と見比べました。
私のものと彼のものは、ほとんど遜色ない同一の代物に見えました
が、…唯一。この模様部分が異なっていた。
しかも同じところに届けるにも関わらず同封することなく態々宛先も分けられていた。
おそらく差出人は同一人物で私たちが一緒に住んでることを把握してるのにも関わらず、です。
……ならば。私に
区別化されたのには、明確な理由がありそうだな…と。
…その辺はいかがなのでしょう？』
今一瞬ほんの少し、心が躍った気がする。
先ほどまでころころ変わるあなたの表情に思うところがあった。
しかし、今あなたのその表情が私に愉悦感を与えた。
貴方が少し目を見開いた、その一瞬を見逃さなくてよかった。
その表情は言葉にせずとも、貴方の予想・期待を上回ったことを示していた。
鏡を見ずともわかる。
私の口元はうっすらと弧を描いていることだろう。
「…ふぅ…。心から感服しました。」
風くんは出会った時からしている精神統一の動作を一度。
そのまま感想を述べる。
その言葉、先程の一瞬の驚き…動揺が本物であれば
彼にとってこの動作は心の乱れを落ち着かせるものでもあるのだろうか。
何にしても、多少なりとも彼を出し抜いたとすれば
色々思うところがあった不満を少しばかりぶつけられた気がして…
ざまぁみろ、…なんて、子供っぽいか。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
