+51+赤い薔薇 ページ4
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『ところで、』
私が口を挟むと何故か視線が集中してくる。
用があったのは今現在、血塗れで
白いバラを真っ赤な鮮血で染めあげた彼だけなんだが
『もしかしなくても獄寺さん、貴方ですね。
何件も交通事故を引き起こし、轢き逃げならぬ轢かれ逃げしたのは』
沢「は!?轢かれ逃げ!?」
山「ははっ、巳國も面白ェこと言ったりすんのな」
「他に言い回しが思い浮かばない程、常識的にありえない事なので
多少の語彙力・表現力の低下は甘んじてください。」
横でベッドの上の沢田くんが「そりゃそうだ…」と呟くのが聞こえた。
だってそうでしょう?
普通の人が轢かれた直後にそのまま走り去るか?
轢かれたならそれ相応の対処を求めるのが普通だと思うんだけど…
あろうことか警察を呼ぶよりも先にしたことが立ち去るって…
タフというか、それこそ人間離れしていると思う。
しかも最低でも3件。
場合によってはそれ以上の回数轢かれてるわけだ。
タフなんてレベルじゃない。
私の知ってる常識から遥かに逸脱した行動。
そんな行動を表す言葉なんて即座に思い浮かぶわけがないでしょう。
現に彼は「慌てていたら何度か轢かれた」と言ってしまっている
そして何の意地を張っているのか分からないけれど
医師の目にかからずとも平気だと言い張っている始末。
変わっているというか、なんというか…。
『いつも思うのですが皆さん、理解の範疇を優に超えますよね』
沢「え゛…」
『それでも楽しそうに過ごすのですから、変わってます』
獄「けっ、お前にだけは言われたくねぇけどな」
発言が気に触ったのか血塗れのままで悪態をつかれる
貴方はとにかく医師にちゃんと見てもらうべきだと思う。
口にはしないけど、反論じみたことを脳内で考えた。
『とにかく、沢田くんもここにいるとわかった訳ですし
お見舞いの果物分けて貰ってきます、後でお届けに上がりますね』
沢「え、いやっ、悪いよ…」
『お気になさらず。』
「じゃあ…また」と山本くんらに一言置いて踵を返したところで
引き手に手をかけた時、ミシリ…ミシリ…と嫌な音を立てる。
向こう側から女の人の声が複数
沢田くんたちと会話していて気が緩んでいたからか気付くのが遅れた
少し焦ってバッと、恭弥さんとの戦闘時並の反射神経で飛ぶように後退
後退した先には山本くんが居てぶつかりそうになったが
「おっと」なんて言いつつ右肩、左腕を掴んで受け止めてくれた
自分の身長的にも、顔を上げた時距離がすごく近い。
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作者名:睡-スイ- | 作者ホームページ:https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時:2019年9月23日 16時