【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ24)

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+７１+不向きページ24

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「じゃあ先に帰るね、巳國さんも。また学校で」

そう言って沢田くんを中心にその場の皆さんは家路に着いた。
ディーノさんは「また会おうな」と行って私の頭を撫でて去っていく。

イタリアの男性とはこうもパーソナルスペースというのが狭いのか

それとも、身近に年上の人がいたらこれくらいするのだろうか？

私は養護施設でも自ら進んで誰かと関わったりはしなかったから
もしかしたら、私が年下・年上との距離が変なのかもしれない

私はボーッと眺めつつ、山本くんは手を振りながら
彼らが賑やかに談笑しながら立ち去っていく姿を見送った。

「…で、どうした？話ってなんだ？」

彼らの背が見えなくなってきた辺りで山本くんが先に口を開く
表情はいつも通り柔らかく、身構えている様子はなかった

むしろ珍しい呼びかけに少しの驚いているように見えた

彼が私の問に対してなんと答えるかで
話が早く終わるか、長引くかが変わってくる。

長々と立ったまま話すのも悪い気がして
『少し移動しませんか』と声をかけたら彼はまた笑って許してくれた

『甘いのは？』

「ん？」

『お嫌いですか？』

「いや、好きだけど」

『じゃあ…。』

自販機の前で短い言葉のやり取りを数度。

私は甘いのは好まないので缶コーヒー、彼にはココアを買う
もちろん、この時期だし暖かいものを。

『どうぞ』

「俺のもか？なんか悪ぃな」

私に話があると言われたせいで未だ寒空の下に滞在している

どう考えても迷惑をかけられている側なのに
そういう人柄だとしても、よくそんなに配意できるものだ。

しかし、気にしすぎで受け取ってくれないのは困る
私は甘いのは好まないんだってば。

彼なら取れるだろう。
そう踏んで、下から上に向かって優しめにココアを投げる

「！？っお」

『さすが野球部』

期待を裏切ることなく、彼はその大きな手にココアの缶を収める

最初は驚いていてパチパチと瞬きをしながら
投げ終えた私の手と自分の手の中のココアを交互に見ていたが
ぷはっ、と吐き出すように笑う

「はははっ、仲間の送球を落とす訳にはいかねぇからな」

綺麗に笑う彼を見て、なんとなく後ろめたくなった。

私が確認することによって優しい彼はその笑顔を翳(かげ)らせるかもしれない

私のことなど１ミリたりとも知って欲しくなかった、と
今更すぎるが関わったこと、言葉を交わしたことを後悔した。

やはり、私は人付き合いには向かないようだ。