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12.お外は気持ちがいい ページ12

鬱「うっわ、美味そう」

A「……先輩って、本当に神出鬼没ですよね。」




待ちに待ったランチタイム。

この会社にはちょっとした芝付きのテラス的なものがあるため、そこでぽかぽかと気持ちよく卵焼きを口に運んだが、ぬぅっと目の前に現れたうさまる先輩によってそれは阻まれた。




A「私のストーカーですか」

鬱「ちゃうって。なあ、それ自分が作ったん?」

A「あー…まあ……大体は……?」

鬱「へえ、料理できたんやね」




……つい、嘘をついてしまった。
いや、料理は出来るのだから決して嘘ではないけどね。

タダでさえささくれ立っている今は、是が非でも自分の口からあの悪魔の名前は出したくはなかった。

て言っても、うさまる先輩には兄弟関係なんて興味ないし、別にいっか。




鬱「あ、そや。神出鬼没ちゃうねん。探しとったんや」

A「はい?」

鬱「今度な、あー…社員旅行が終わってすぐやったっけな。俺とキミで営業っていうか、ちょっと挨拶まわり行こかなって」

A「えっ、私がですか!?」




思わず箸を置いて、なんで?と先輩を見つめる。
何故なら先輩は私の直上の上司ではない。
大分キャリアと年柄がちがう。


だから一緒にお仕事をする事はないと思っていたのに。




すると先輩はちょっと気恥しそうに、ぽりぽりと後頭部をかいて、目線を斜め下に落としながら口を開いた。




鬱「まあなんつーか……その、上司にな? 新人は厳しいだろうが……せめて2年目以降のやつは1回くらい面倒見ろって言われてもーて…」

鬱「営業中って結構普段とキャラちゃうし、恥ずかしいやんか。 ……んで、誰が1番緊張せんでいけるかなあ、って思ったら………」




……私だったわけですね。




A「事情はわかりました。…まだまだ未熟者なので、ご迷惑でなければになりますけど…」

鬱「うわ、ホンマ!? ありがとう!!」





先輩が1番気を許してくれているというのは、居心地の悪いものではなかったし、


「よろしくな」と差し出された手もまた、見た目の女性らしさとは裏腹に、しっかりと男性の手をしていて。



なんとなく気分がふわりと浮いたのは、ぽかぽかなお日様のせいという事にしておこう。






.

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月夜(プロフ) - 是非是非更新してください〜!!!! (12月2日 10時) (レス) @page20 id: dce85de801 (このIDを非表示/違反報告)
𓆛 - 見つけた時には既に更新停止になっていて、続きを読むのを諦めながらも、お気に入りにしていつか更新される事を願ってました! 作者様のご負担にならなければ是非更新再開して頂けると嬉しいです。 戻ってきて下さりありがとうございます、おかえりなさい(*_ _))*゜ (11月24日 17時) (レス) @page20 id: 9e680aee3d (このIDを非表示/違反報告)
かんづめ - すっごい好きです!できれば続きみたいです、無理にとは言いませんので! (2020年6月30日 22時) (レス) id: c082722a5b (このIDを非表示/違反報告)
るなお(プロフ) - 全てが好きなので続き読みたいです…!更新お待ちしております、! (2020年6月30日 22時) (レス) id: 6effbfd928 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - もう全体が好きすぎます!できたら続き書いてください!めっちゃ気になります! (2020年6月30日 20時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:相生葵 | 作成日時:2017年3月1日 8時

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