18話 ページ19
ルッスーリアの合図と同時に、スクアーロがとてつもない勢いで迫ってきた。名前はそれを紙一重でかわし、距離を置くべく遠のいた。
「う"ぉい…なんで飛び退いたテメェ自身が驚いてんだぁ?」
そう、まるでいつもと違う感覚に戸惑っているかのような顔で、名前は着地した。だがそこで攻撃をやめるスクアーロではない。詰め寄っては離れ、詰め寄っては離れの攻防を繰り返している。
「あ、もしかして昨日足枷外したから、いつもより動けるんじゃね?」
「確かに、あれものすごく重かったからね。身軽さが変わってても不思議じゃないよ。」
外野から観戦していたベルとマーモンが、仮説を立てる。それをスクアーロは小耳に挟んで、ひとり納得した。
「いつまで鬼ごっこ続ける気だぁ"!!そんなんじゃヴァリアーの試験は…通過できねぇぞぉ"!!!!」
スクアーロの猛攻は止まらない。彼の剣撃を見慣れているヴァリアーの面々でさえ、動きを追うのに忙しいほどだ。
「しししっ!名前なかなかやるよな。あのスクアーロとやり合って、まだかすってもねぇじゃん。」
ベルは上機嫌に観戦を続け、マーモンは徐々に退屈になってきたというところで、名前が反撃に出た。
「あり?アイツ、銃持ってんのになんで武術で攻撃してんの?」
「まさかあの子…スクアーロが銃弾で怪我するんじゃないかって心配して撃たないのかしら…?」
だとしたら生ぬるい考えだ。試験といえど、本気で殺す気かからなければ、このヴァリアーで居残ることは出来ないのだから。
「そろそろ本気でやってもらうぜぇ"!!!!」
ここでスクアーロの大技、スコントロ・ディ・スクアーロが放たれる。剣帝テュールを討った技だ。誰もが、ここで勝負が決まる、スクアーロが勝ったと確信した。しかし。
「…!?」
名前は躱した。躱しきった。あのスクアーロの特攻を。そして、今までの移動とは比べ物にならない速さで距離を詰めり、足首を狙った回し蹴りでスクアーロの体をなぎ倒すと、無防備になったほんの一瞬のうちにスクアーロの胴へ馬乗りになって、眉間に拳銃を当てた。
数秒の静寂。誰もがそのスピードに目を疑った。そして名前はスクアーロの上から退くと、紙を手にしてこう書いた。
『私なりに勝ちを狙ってみましたが、いけなかったでしょうか?』
おずおずと紙を差し出す名前の姿を見て、今まで静観していたXANXUSがただ一言、「文句ねえ」と笑って訓練場を去っていった。
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夢(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…! (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました!先程フォローさせていただきました!よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…! (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫女月 | 作成日時:2020年12月23日 2時