検索窓
今日:36 hit、昨日:0 hit、合計:675 hit

ページ ページ34

「ねえ……」


私の声に影が動きを止め、静かに対峙した。


「血って美味しい?」


影は、クキッと首を横に曲げた。

まるで不思議がるように。



その様子を見ながら呟く。


「私も……血が欲しくなるのかな……」



考えたくない、そんなこと。

でも、きっと考えなくちゃいけない。



リズが死んだ。マシューが死んだ。

アーウィンはヒトじゃなかった。


どんなに小さい脳みそだって振り絞って、私は私なりの道を探そう。

例えそれが正しくなかったとしても。


「これでおしまい」


宣言した。


「私を追いかけ回すのも、あなたに怯えるのも」


静かに銃を持ち上げて構える。


「これでおしまい」


そして、私かあなたのどちらかが終わる。



ずっと、悪夢だけを終わらせる方法を探していた。

きっとあると思っていた。


いつでも誰かが助けてくれたから。

いつでも私は何不自由なく生きてきたから。

この悪夢だって、いつかは優しい誰かとか時の流れとか、そういうものが終わらせてくれるのだと信じていた……。

今思えば、それはおとぎ話。

王子様がお姫様を助けて終わる、美しく整えられた物語。



揺れる銃口の向こう、影が不満気に唸った。

アーウィンは屈服させろと言ったものの、私にはその方法がわからなかった。

でも、そんなものはどうだっていいの。

分からないなら、違う道を選ぶだけ。

正しい方法なんて分からなくても、止まるわけにはいかない。


「私はあなたを野放しにできない。あなたを置いては終われない」


そう。それだけ分かっていれば、充分だ。

例え、私も一緒に終わることになったとしても。


「絶対に一人では逝かない!」


顔を上げ叫んだ。


「来なさい!終わらせてあげる!!」
「A!!」


影が躍りかかるように立ち上がり、迷わず銃の引き金を引く。

次ページ→←前ページ


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーアルファベット

X

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:名前変換オリジナル , 吸血鬼 , オリジナル   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年12月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。