ページ ページ34
「ねえ……」
私の声に影が動きを止め、静かに対峙した。
「血って美味しい?」
影は、クキッと首を横に曲げた。
まるで不思議がるように。
その様子を見ながら呟く。
「私も……血が欲しくなるのかな……」
考えたくない、そんなこと。
でも、きっと考えなくちゃいけない。
リズが死んだ。マシューが死んだ。
アーウィンはヒトじゃなかった。
どんなに小さい脳みそだって振り絞って、私は私なりの道を探そう。
例えそれが正しくなかったとしても。
「これでおしまい」
宣言した。
「私を追いかけ回すのも、あなたに怯えるのも」
静かに銃を持ち上げて構える。
「これでおしまい」
そして、私かあなたのどちらかが終わる。
ずっと、悪夢だけを終わらせる方法を探していた。
きっとあると思っていた。
いつでも誰かが助けてくれたから。
いつでも私は何不自由なく生きてきたから。
この悪夢だって、いつかは優しい誰かとか時の流れとか、そういうものが終わらせてくれるのだと信じていた……。
今思えば、それはおとぎ話。
王子様がお姫様を助けて終わる、美しく整えられた物語。
揺れる銃口の向こう、影が不満気に唸った。
アーウィンは屈服させろと言ったものの、私にはその方法がわからなかった。
でも、そんなものはどうだっていいの。
分からないなら、違う道を選ぶだけ。
正しい方法なんて分からなくても、止まるわけにはいかない。
「私はあなたを野放しにできない。あなたを置いては終われない」
そう。それだけ分かっていれば、充分だ。
例え、私も一緒に終わることになったとしても。
「絶対に一人では逝かない!」
顔を上げ叫んだ。
「来なさい!終わらせてあげる!!」
「A!!」
影が躍りかかるように立ち上がり、迷わず銃の引き金を引く。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年12月29日 0時