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「…………」


死体、死体……。


ここでは、私の存在の方が間違っている。

死体の国に紛れ込んでいるみたい。


なぜか恐怖より、居心地の悪さが先に立った。

……ああ。何だか眩暈がして……。



その時、視界の端に何かがかすめた。

他のものより少し小さな体。

黄色の服……見覚えがある。


「!!」


脳天から足の爪先まで、冷たい衝撃が走り抜ける。

まさか!!


私は小さな柱に駆け寄ると、うつむく顔を下から覗き込んだ。

「……リズ!!」


それはリズだった。

棒に括り付けられて、ぐったりと項垂れている。


「嘘、嘘よね。リズ!そんな、まさか、まさか……そんな!!」


肩を揺すったけど、リズは反応しない。


「リズ!!」


手が首に触れた。

温かい!生きてる!降ろさなきゃ!



縄は固く結ばれている。解けない!

何か、何かで切らないと!


辺りを見渡した。



部屋の隅には、かがり火が一つゆらゆらと死体の林を照らしている。

そうだ、火で縄を焼き切れば!



かがり火から、片方燃えていない薪を一本取りあげた。

慎重に火を近づける。


もっと近づけないと……でも彼女に火傷させられない。



自分の手を、縄とリズの体の間にねじ込んだ。

熱ッ……でも、もう少し。

あとちょっと。




「切れた!」



同じく、両手を縛っていた縄も焼き切る。

最後に胸の辺りを縛っていた縄を切ると、支えがなくなった彼女は、覆い被さって倒れ込んできた。


「うん……」
「リズ!!しっかりして!!ねえ、リズ!!」


必死に肩を揺すると、うっすら目を開ける。

焦点が私の顔と合う。

その瞬間、リズはヒステリックな悲鳴を上げた。


「キャアアアーッ!!」


立ち上がろうとしたが、すぐに倒れてしまう。

それでも狂った感じに手を動かして、逃げようとする。

蹴られながらも、彼女の服を掴んだ。


「リズ、待って!私よ、Aよ!」
「いやああッ!こないでッ!!」


もう一人の『私』と勘違いしているんだ。


「リズ、落ち着いて!!あれは……」
「嫌あああッ!!」
「違うの!私は違う!!」
「化け物ッーー」
「それは私じゃない!!」


今まで出したことのない大声だった。

私にもこんな大きな声、出せるんだ。



リズも驚いたのか、血走った目で凝視している。


「私じゃない……」


ポツリと呟くと、涙が溢れた。



わかって。お願い……。

私のこと、嫌わないで。

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設定タグ:名前変換オリジナル , オリジナル , 吸血鬼   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年11月25日 22時

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