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ぐるぐると頭の中が回る。

目を閉じれば、その渦に飲み込まれてしまいそう。


渦の中心に何かがあるのに、渦が邪魔をして手が届かない。

頭の中がぐちゃぐちゃになっている。


ああ。

頭を割って中身を引きずり出せたら、蠢くそれを捕まえられるのに。


「ーーねえ!」
「!」


突然視界いっぱいに人の顔が割り込んできて、我に返った。


男の子が私の視線を邪魔して、下から顔を見上げている。

ものすごい至近距離に顔がある。

近すぎてピントが合わないくらいだ。


「えっ、えっ……な、何?」
「何じゃない。俺、さっきからすっごい話しかけてんだけど」
「あ、ご、ごめんね。ちょっとぼうっとしてて……」
「…………」


そんなに見られたら、穴が空いちゃう……。


「……。ま、いいけどっ」


一転して明るくそう言うと、立ち上がった。

灰色の目の呪縛から解放されて、ホッとする。


「でも、しゃんとしなきゃ」


小さい子を叱る調子で、顔を顰められた。


「こんな所でぼけっとしてたら、あっという間にあの世へ行っちゃうよ?」
「はい……」


怒られちゃった。

私の方がお姉さんなのに。


「ほら、とにかく立って」


私の手を引っ張って立たせると、牢を出た。


「姉ちゃん、名前は?」
「A……A・タウンゼント」
「ふうん、Aね。俺はフレデリック・オーゼンナート。フレディでいいよ。覚えといて」


屈託のない調子でそう言うと、彼は私を振り返った。


「姉ちゃん、どっか怪我してない?今までに転んだりとか、トゲ刺さったりとかしなかった?」


少し考えた。

体の隅々まで神経を総動員させてみる。

痛みはない。


「……。してない」
「ほんとに?少しも?口の中は切ってない?」
「……。ない」

それでもフレディは、疑わしそうに全身に目を走らせる。


「……うん、大丈夫そうだね。流血には気をつけなよ。奴らは血の匂いに敏感だから」
「奴ら?……あのお化け?」


私の「お化け」という表現がおかしかったのか、軽く吹き出した。


「そうそう、オバケ」


何だかホッとした。


人の笑顔を見たのは、すごく久しぶりな気がする。

……でも不思議な子。

会ったばかりなのに、昔からの知り合いみたいに話せる。

なんだか懐かしい匂いがするし……。


これはなんの匂い?

ええと……いつだったかな、どこかで……。

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設定タグ:名前変換オリジナル , オリジナル , 吸血鬼   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年11月25日 22時

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