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「 遅い 」
バレンタインの放課後 、幸くんの教室に行くと
幸くんだけが教室に残っていた 。
幸くんの机に置かれている布とハサミと針山と糸 。
作業をしていたのだろう 、伸びをしながら彼は声を発した。
『 ごめん 、待たせちゃって あの 、これを 』
鞄から取り出したピンク色のリボンをした白い箱 。
昨晩手作りしたチョコレートは彼の口に合うだろうか。
少しでも彼好みに、と熊と兎の型を買って切り抜いて可愛い って言ってもらえるように頑張れたはずだ 。
「 へぇ 、あんたも女子なところあるんだ 」
『 女子だよ 』
椋くんという恋のキューピットのおかげもあり、この1年で距離はぐんと近づけた。
こうして仲良くなれたのに 、告白を断られたら友達としていれるのかな。箱の底に 好きです なんてメッセージカードをいれた完全なる告白 。
「 … これ 、本命 ? 義理 ? 」
『 友チョコ 、という選択肢は …? 』
本命です 、と言ってしまったら、幸くんのいい迷惑になりそうでその言葉は飲み込んだ。
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「 別に 、本命だったらいいなって思っただけ 」
そう微笑んで箱を開けた君と
張り裂けそうな甘酸っぱい気持ちを抑え込む私の
恋愛が始まる 、その6秒前 。
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作者名:Chocolate palette.製作委員会 x他4人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年2月14日 21時