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ちょこっとの勇気 / 皇天馬 ページ11

*



バレンタイン。
それは女の子の一大イベント。

そんな世の中のことに私も勿論便乗して、
チョコレートを作ってみたものの…

いざ渡すとなると緊張して心臓が飛び出しそう…
よし!っと気合を入れて彼の前に立ち、話しかける。



「て、てんま!!」

「あ?なんだ?」



「あの…あのね!」



「あ?それより見ろよA!今年もこんなにチョコ貰ったぞ!!」

「……」



目の前に立ちはだかったタワー用なチョコの山に、渡そうと思っていた"ある物"を思わず背中に隠してしまった。



「やっぱり人気者は大変だな……ってどうした?」



「……いいやなんでもない、ちょっと腹立つなって思っただけ」

「は!?」




国民的俳優皇天馬。

人気は絶大でこんなことは想像はしていたが…
いざ目の前になるとライバルはたくさんで、
自分に自信がなくなっていく。

私なんかが手の届く人じゃないって分かってても、
好きで好きでたまらない。

やっと勇気を出してチョコレートを渡そうと思ったらこれだ。当の本人はファンから貰ったチョコレートにメロメロ、私のチョコレートなんか入る隙間もない。




「せいぜい鼻血出さない程度に食べたら!」





なんて可愛くないことしか言えない私は、
きっと天馬からしたら恋愛対象外だろう…。









_______


____







「チョコの渡し方?」

「そう!」



リビングに行くと丁度、天馬を除いた夏組が
揃っていて、思い切って相談してみた。



「わー!Aちゃん天馬くんにチョコ渡すんですね!」

「え!?なんで!?」

「ていうか今更感でしょ。好きすきオーラ出すぎ」

「……そんなに出てた?」



みんな頭を揃えて縦に振る。

好き好きオーラが出ていたことに気づかなかった
自分が恥ずかしくなっていき、みるみる顔は赤くなった。




「……それでですね、渡せなくて…」


「てんてんめっちゃ貰ってたもんねー!まじやばたん!」

「天馬すっっごく貰ってた!チョコの三角出来てたよ!!」



改めて現実を突きつけられ、ずーんと気分が下がる。
そんな私に「ほんとっめんどくさい」と喝を入れたのは幸くんだった。



「天馬もAも本当にめんどくさい」



*

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作者名:Chocolate palette.製作委員会 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月14日 21時

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