情けない文豪が見たい人の為の短編集

まだ幼い‐太宰治 ページ7

‐‐‐璃子さんリクエストありがとうございます‐‐‐




「治ほそいよね」

　事を終えた後の朝だった。
　私達は同じ布団で眠って起きた。

「いつも服着てるよりもっと細いから…
　なんて言うの、着太りするタイプ？」

「んふふ、やっぱり女性には逞しく見られたいからね…」
「笑い方キモ」
「ぐぅっ…」

「逞しく見られたくても結局は細いんでしょ？」
「引き締まった体と言い給え！」
「え、なんて？引き締まった身の鯖？」
「んぐぐっ…！」

全く聞いてなかった上に彼女の難聴が酷い…。


「あ、そだ
治ちゃんのお尻ケアしてあげなきゃね」

　Aはとっても優しい。
行為中は意地悪だけど。
今もこうやって私の身を案じてくれていた。
朝の冷たい空気に触れれば、
ヒリヒリとする敏感な場所へ
Aの冷たい手が優しく這う。

「あ、あぅ…」
「何喘いでんの変態
　昨日散々スパンキングでよがってたくせに
　後始末でも喘ぐの？」
「ん、ごめ、…
でも、Aの手、きもちいから…」

　私は世間一般で言うマゾヒストだった。
　そして、彼女はサディストだ。

「あーあ、こんな赤くなって…
こんなの国木田君あたりに見せたらどーなっちゃうんだろ」
「！」
「あ、ふふ…想像した？
治に恥ずかしい、なんて感情あったんだねえ」

「…Aの前だけだし……」

「…ふーん？嬉しい事言ってくれるね」

下半身への優しい感覚が無くなったと思えば、
突如体が仰向けに反転した。

「ぇ、んむ」
　Aの柔らかい唇が私の元へふわりと降りかかってきた。
キスなんて滅多にしてくれないので下手かと思えばそうではない。寧ろとても上手い。

「んん、ぅ…」
　久しぶりに感じた彼女の粘膜は、
酷く熱く、思考がとろける程甘かった。

息がしやすくなれば、今は熱い彼女の手が頬を這う。


「ふふ、ご褒美…」

「ぁ、…」



　彼女からこんなに甘く接されるのに慣れていなくて、どう声を出していいか分からなかった。

「顔真っ赤、いつもの減らず口はどうしたの？」
「…き……急に、やさしく…しないでよぉ…」
「優しいの、慣れてない？」
　頭がまだ白いまま、頷いた。

「じゃあこれから優しくするね」
「え…や、やだぁ…意地悪しないで、A…」

「…そんな顔されたら誰でも意地悪したくなるよ」

　自分がどんな顔をしているか分からなかった。
思考が上手く働かない中、
Aに見たことも無い優しい顔で
いつの間にか目に溜まった涙を親指で拭われていた。

セクハラ‐芥川龍之介→←中原君は気づかない‐中原中也

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