９. ページ10
わがままなんて言ってられない。
大丈夫。わたしには悠がいるし、他のスタッフだっている。
目を合わせないようにして、仕事だけに集中しよう。
「A、リラックス」
肩を揉んでくる悠。
手つきは優しいけど、どこか焦りを感じた。
大丈夫だから、という意味を込めて肩を揉む手に、自分の手を重ねた。
もうすぐ、わたしたちの出る時間だ。
お昼前。人が多い時間だ。
この時間帯には慣れているし。
そして時間が来て、いま兄がいるであろう店舗へと向かう。
扉を開けて、お客様の前ではできるだけ笑顔で。
「いらっしゃいませ、ご注文承ります」
注文を受け付ける悠の少し離れた所で準備する。
高校生のカップルかぁ…高校生だとすると、たぶん。
キャラメルフラペチーノの準備をしていると、それと同じ注文が入った。
悠がわたしに伝えてきて、それを笑顔でうなずく。
ふいに視線を感じて、その方向を見る。
兄だった。
何をしたらいいのか分からないのか、
わたしを見て楽しんでいるのかバカにしているのか。
すっと目線を外し、受け渡しのほうへ来た男女に笑顔で品物を渡す。
ありがとう、そう言って受け取ってくれる。
こんな小さなことでも、すごくうれしいんだ。
「A」
わたしを呼ぶ兄の声に、わたしも悠も反応した。
どうしよう、そう思っている間に、横には兄。
こわい。
昔の出来事がフラッシュバックする。
下を向くと、目に映るのは…足。
引 っ 掛 け ら れ る 。
そう思って、近くの壁に手を当てる。
荒い息を隠すように汗を拭い、何もなかったことに逆に驚いた。
「…そんなに怯えなくても、いいじゃん」
兄のそんな小さな声は、わたしの耳には入ってこなかった。
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プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
