４５. ページ48
病院から家は近くて、歩いて五分。
すぐについて、いまは家の前。
大家さんがいて、おじぎをする。
「あら、Aちゃんが友達連れてくるなんて珍しいわね」
「「「兄です！！！」」」
「あら」
そんなやり取りに小さく微笑んで、部屋の鍵を開ける。
相変わらず寒くて、何もない部屋。
けど兄たちは、文句ひとつ言わずに入ってきた。
「おじゃましま〜す。うっわまじで一人暮らししてんだ…」
「A、寒くないの？」
「…風邪ひくよ」
大丈夫、の意味を込めて少し笑みを含んで首を横に振る。
兄たちを適当に座らせて、お茶の準備をした。
手伝うよ、と言ってくれたチョロ松兄さんと一緒に台所に立つ。
「自炊とかしてるの？」
そう問われ、情けなく首を横に振る。
「そうだよね、忙しそうだもんね」
チョロ松兄さんが横にいる台所も、久しぶりだ。
昔はよく、母さんたちがいないと気にご飯を作るのを手伝ってた。
横を見ると、背が高くなって少し大人っぽいチョロ松兄さん。
みんな、変わったな。
「はい。できたから持っていこ」
人数分のお茶をお盆に乗せ、歩く。
ありがとうと言って受け取ってくれた。
「ん、ねぇねぇ。そういえばこいつ、Aんとこでバイトしてたんだろ？」
「ちょ、おそ松兄さん！」
「そんとき、こいつなんて呼ばれてなんだっけ〜？」
「もおおお！その話はいいってば！！」
トッティって呼ばれてたね、確か。
おもむろにスマホを取り出して、メモ欄に文字を打つ。
そしてそれを兄たちに向けた。
その瞬間、みんな少し悲しそうな顔をしたけど気にしない。
「ちょ、Aのばか！言わなくていいよ！！」
「トッティ〜？」
「トッティじゃないから！トド松だから！」
なんだか、すごく楽しい。
…ありえないよね、一週間前までは怖くてたまらなかった人たちと。
いまこうやって、お茶を飲みながら笑っているんだ。
「A、こいつなんてチビ太に誘拐されたんだよ？」
「石臼はないよね…」
「痛かったんだからな！！？」
わたしも、みんなと話したいよ。
せっかく、こうやって夢のような時間を過ごしているのに。
そう思ったら、笑っていたはずの顔はいつの間にか歪んでいて
大粒の涙が頬を伝っていった。
拭っても拭っても、それは止まらない。
「A、大丈夫だから」
目の前が、赤く染まった。
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プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
