４１.side...おそ松 ページ44
あの男が病室に入っていった後。
何とも言えない不安に襲われて、家に帰れないでいた。
病室の近くのベンチに腰掛ける。
やがて扉が開き、あの男が出ていく。
俺には気付いて無いっぽかった。
その歩き方は、どこか焦りがあった。
もしかして、何かあったんじゃ？
そう思ったら行動は早くて、Aの病室に入っていた。
Aは驚いた顔をしていた。
無言で部屋に入り、椅子に座る。
「なんかされなかったか？」
そう言って、Aの目をしっかり見据える。
一瞬目を逸らしたA。
「…A」
手を握る。
少しだけ震える手。
あぁ、でもAは声が出ないんだ。
だったら、何も言えないじゃないか。
こんなときにも、何一つ俺は聞いてやれない、
Aの声が聴きたい。
「A…喋ってよ。兄ちゃんに声聞かせてよ」
手を握る力を強くする。
「ごめんA、俺たちが悪いってわかってる。
でもな、分かってほしいんだ。
俺たちは、Aのことを嫌ってなんかない。
むしろ大好きだよ。
だから、待っててほしいんだ。
俺たち、絶対Aの声を元に戻すから。
また一緒に遊ぼう。な？
いまは理由は言えない…けど、
絶対、言うから。納得するまで言うから。
だから、俺たちを信じてほしい。
俺たちの事を、嫌いにならないでほしい…」
勝手に口から出た言葉だった。
確かに、心の中では思ってた。
けど、それを言おうなんてまだ思ってなくて。
Aの現状を目の当たりにして、耐えきれなかった。
「…ごめんな！急に変なこと言、って……」
泣いちゃいけないのに、こぼれる涙。
なんだよ今更。
許されないことをして、Aは泣いてないのに俺は泣いて。
なのに、
「…A？」
口を動かすだけ。
でも、分かる。
『な か な い で』
俺の目から流れる涙を、Aが服の袖で拭う。
あのAが。
俺たちがいるだけで怯えて震えて、拒否を示したAが。
「…っごめん、な…っ」
情けなく笑った。
Aの手を両手で持って、頬にすり付ける。
あたたかくて、安心した。
病室で、３０分くらいこのままだった。
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プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
