２６. ページ28
兄を二人後ろに連れて、歩いた。
どうしてこうなってしまったんだろう。
すべて恐怖に感じてしまう。
家に入れたら、物を壊されたりしないだろうか。
ちゃんと話したいといいながら、また足を引っかけられないだろうか。
言葉の暴力を投げかけられないだろうか。
街の真ん中を歩く。
そしたら、何か白いものが上から降ってきた。
「…雪だ」
兄が、つぶやく。
雪…。
ポケットから手を出して、空に浮かべてみる。
白く、小さい雪が掌で溶けた。
昔はよく遊んだ。
雪ダルマ作って、雪合戦して。
寒くてもすっごい元気で、楽しかったね。
今ではもう、寒いから嫌いだよ。
そして、歩いているうちにわたしが来たかった場所についた。
セーターとヒートテックだけでも買っておこうと店の中に入る。
兄たちはついてこないだろうと思っていたら、一緒に入ってきた。
正直離れてほしかったけど、言えないし
気にせずに、目的のものを探した。
(…あった)
黒の厚手のセーター。
少し大きめがいいかな。
だが、ムカつくのが、高いところにあるということ。
手を伸ばしても届かなくて、近くに脚立がないか探している時だった。
「……これ？」
不愛想な兄が、それを手に取った。
どう反応していいかわからないから、とりあえず小さく頷く。
取ってくれたんだ、と自覚してから、受け取ろうと手を伸ばした。
「…買ってやる」
そう言って兄が、商品を持って歩き出す。
さすがにそれはやめてくれ。
…わたしが兄を頼っているようで、何か嫌だ。
そう思って、両手で兄の服を引っ張る。
兄が振り向いてこちらを見る。
顔をぶんぶん左右に振った。自分で買うから、と。
…けど、なんでだろう。
兄は、不愛想だけど、笑った。
本当に少しだけ、笑った。
なんでこんな状況で笑えるのか理解できない。
呆然と立ち尽くすわたしの手をそっと洋服から離して、兄は歩いた。
「僕も、何か買ってあげようか？」
そう言う兄に、断りの意思を示す。
いいんだよ？一松兄さんも買ってるし、僕にも何か買わせて、という。
…こんなの、いつ振りだろうか。
兄が、袋を持って帰ってくる。
ん、と言ってそれを渡してくる。
一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
ありがとう、っていう気持ちがあった。
けど、それを言葉にはできないから
前髪のせいであんまり見えないだろうけど、ぺこりと頭を下げてお礼をした。
懐かしい気分になった。
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革ベルト
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プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
