１７. ページ18
目が覚めたら、真っ白い天井。
周りを見ずとも分かる、慣れた景色。
横を見ると、涙の跡が残った顔をベッドにうずくめて寝る悠の姿。
その頭をゆっくりと撫でた。
悠には迷惑をかけてばっかりだ。
「…ん、」
撫でている手に気付いたのか、悠が目を覚ます。
わたしの顔をじーっと見つめる。
そして、その瞳から大粒の涙が流れ出す。
「よかった…ぁ、！」
子供みたいにわんわん泣いてる悠。
ごめんね、ありがとうね。
でももう慣れっこだからさ、大丈夫なんだよ。
震える肩を、とんとんと叩く。
その腕を掴まれ、引き寄せられる。
気付いたら悠の胸の中。
暖かいなぁ。
心臓の音が聞こえる。
心の中でもう一度ごめんねと唱えて、悠の背中を擦った。
.
.
.
「もう、お願いだから無茶しないでね」
約束の指切りげんまんをして、病院から帰宅した。
大げさに買ってきてくれた花束を抱えて歩き出す。
いいにおいがする。
そういえばバイト休んじゃったな。
あとで店長さんに謝っておこう。
「…ねぇ」
どこからか、声が聞こえた。
自分に向けられたものだなんて思わない。
そのまま、歩いた。
「無視するなよ」
歩く。
いやだ、認めたくない。
「…A、」
わたしの名前を呼ばないで。
「…おい」
早歩きをしていたはずなのに。
さっきまで意識を失っていた体は走るほどの体力を持ち合わせていない。
掴まれた腕が、震える。
後ろに感じる人影。
「やっと見つけた」
そう言って兄は、わたしの腕を強い力で引っ張った。
よろめく体。
これは、よくこの兄にされいた嫌がらせ。
急に腕を引っ張られて、すぐに離す。
バランスを崩した体は後ろへと倒れ、後頭部を強打するんだ。
あぁ、今病院出たばっかりなのにな。
そう思って、来るであろう痛みに目を閉じた。
「……」
いたく、ない。
なぜか、引っ張られてバランスを崩した体は
兄の胸に、すっぽりとおさまっていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーナンバー
8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1409人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
