１０. ページ11
だめだ。考えるな。いまは仕事中だ。
よろよろと力の入らない体を壁から離し、次の注文に備える。
兄も、やることを探しているのかもしれない。
やることがないなら帰ってくれればいいのに。
そう思いつつ、抹茶ラテを作る。
悠に心配をかけたくないし、元気でいなきゃ。
「A、キャラメルフラペチーノたぶんまたくるよ」
耳打ちしてくる悠にうなずきながら、準備。
後ろで見ているだけの兄に恐怖心を抱きながらも、笑顔で接客した。
そしてドンドン増えてくるお客さん。
注文も増えて、忙しくなる。
お昼のシフトは少ないから、いつも大変だ。
見ているだけの兄とは違うんだ。
ここでならわたし人の役に立てる。
だから、邪魔しないでほしい。
邪魔されることに対しての怒りはよく知ってるはずでしょう。
わたしを邪魔者扱いしたんだから。
「…A？A！」
大きな声で名前を呼ばれて、振り返る。
悠だ。伝票を差し出している。
多い。早く作らないと。
そう思った時だった。
「…僕もやるから」
わたしの横に立ち、さっきやったのと同じように動く兄。
３回やっただけなのに。
見たままで覚えたのか、手順は間違っていなかった。
横にいる存在が怖くて、後ずさる。
これでいいの？と聞いてくる。
固まった表情で、反応をしないわたしに嫌気がさしたのか。
兄が、近付いてくる。
殴るのか、それとも蹴るのか。
あ、言葉の暴力ですか？
「仕事の間くらい怖がらないでよ。さっきは悪かったって」
そう言って、怯えるわたしの頭を撫でる。
体に力が入り、強張る。
久しぶりの、兄の手。
優しいなんてもんじゃなくて、ただの恐怖。
なのに感じる、なつかしさ。
お待たせしました、と渡す兄。
その後ろ姿を見ながら、頭の中が真っ白になっていくのを感じていた。
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革ベルト
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プリン - 私の好みドストライク！ (2019年2月17日 16時) (
レス) id: d0243add66 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 松兄弟目当てできたのに悠を好きになった私← (2017年1月11日 1時) (レス) id: 18f2ff2d81 (このIDを非表示/違反報告)
七 - とても素敵でした！別サイトでも書いてるんですか？凄く読みたいです…urlとかって貼れますか…？ (2016年5月29日 2時) (レス) id: 898d37ed7a (このIDを非表示/違反報告)
せいや(プロフ) - アイさん» たててますよーー！！ナノでですよね？たててます！同じ人です！ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 89311f3d00 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - すみませんいきなりで申し訳無いのですがもうひとつサイトたてられていられますか？同じような小説を見かけました私が知るにこちら様の作品の方が先だと思われるのですが… (2016年2月13日 19時) (レス) id: 1a19365efa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいや
| 作成日時：2015年12月2日 19時
