探偵チームKZ事件ノート×VOCALOID 騎士道 2章

1 消えた王女と騎士 ページ3

ルカ「リア、おはよう」
リア「おはよう、ルカ。いい朝ね」
ルカ「ああ、そうだね」

小鳥のさえずりで目が覚めた
10年前と何も変わらぬ朝

俺達は、あの日消えた王女と騎士だ
俺の本当の名前は
タカカズ・アイルリー
俺の妻、リアの本名は
アヤ・ルーグリス・リグム

ルーグリス王国は、王女の処刑が行われず、カエサル王国とマール王国の怒りを買い、全面戦争に突入し、程なくして滅んだ
俺達の生まれた国が滅んだのは、もちろん悲しい
だが、その感情が気にならないくらい、今は幸せだ

あの日、逃げ切った俺達は、遠い遠い国まで、歩き続けた
誰も俺達のことを知らない地を求めて
だが、俺もアーヤも衰弱し、もう死んでしまうのではないかと思った
そして、ついに限界が来て、倒れた
倒れたのが、小さな村の中だったことが不幸中の幸いだった
通りかかった村人に助けられ、今を生きている

リア「ルカ、どうしたの？ポケッとしちゃって」
ルカ「いや、ちょっとね…昔のことを思い出していたんだよ」
リア「そっか…懐かしいな。みんな、生きてるかな…」

オミ達のその後はよく分からない
父様の居場所でさえも、分からないのだ
でも、生きていることを願っている

ルカ「…探しに行く？」
リア「え？どういうことよ、ルカ」
ルカ「もうだいぶ落ち着いて来たしさ。みんなの安否も知りたいでしょ？」
リア「そりゃあ、そうだけど…」
ルカ「大丈夫、旅行に行くってことにしとけばさ、大丈夫だよ。それに、10年前より容姿はだいぶ変わったから、気づかないと思うよ」
リア「そっか…そう、だね。行きたい」
ルカ「そう来なくちゃ。さ、準備をしないとね」
リア「うん！」

オミも、ノリも、ヒコも、タスクも、カケルも、シノブも、父様も
生きていればいい
カエサル王国とマール王国の騎士達を止めるため、体を張ってくれた
俺達を助けてくれた
…行こう、覚えていてくれたら、いいな

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