-10-これから ページ12
全員揃った談話室には、また再び静かな時間が流れていた。
「A。お前はこれから俺の補佐だ」
「はい」
「だからこそ、お前には知識を蓄えて貰わねぇと困る」
そう……力を引き出すため筆記はパスさせたがそうはいかない。ヴァリアーの入隊に伴う正式な規定には7ヶ国語を話せる必要がある。
「それ以外にも色んな知識が必要だ…お前の記憶がどこまで引き継がれているのかにもよるが…」
「…それは…私もまだ、よくわかりません…ザンザスのお陰で姿は取れるようになったけれど、まだ朧げで……」
「そうか」
「だから、勉強します」
そう言いきったAにXANXUSは一言「期待している」とだけ返し、各々仕事に向かっていった。
(…とは言ったものの、ここの敷地どうなってるんだろう)
来たばかりで土地勘なんて無い場所に、きょろきょろと辺りを見回すA。と、
「そういえば、ここの中案内まだだったわね！私がしてあげるわっ」
ルッスーリアがどうやら案内をしてくれるらしい。クネクネしている。
……クネクネしている。
「それじゃあ案内するわねぇー」
そして、端から順に丁寧に教えてくれるルッスーリア。
さすが世界に誇るボンゴレ…敷地がとてつもなく広い。迷子になりそうだ。
「それで…最後。ここが、ボスの部屋よ」
他の部屋よりも大きく精巧な扉。この先に、王が鎮座している。
「部屋…近い」
「ボスにそう言われたのよ。一番近い部屋にしろってね」
「ザンザス…が……あっ」
はっと何かに気付いたA。
「どうしたの？」
「…私も、ボスって言った方が…いいんでしょうか…」
他の皆はXANXUSの事を"ボス"と言っていた。自分も部下になったのだから、ここは皆に合わせなければ行けない…そう思ったのだ。
「貴女はそのままでいいわよ」
「え？」
「その方がボスも喜ぶわ」
「…そっか」
ぽむっと頭に置かれた手はとても優しかった。
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作者名：紅雪 | 作成日時：2019年4月7日 3時
