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さっきのは本当になんだったのだろう……?
剛くんの部屋を出て、とりあえずクールダウンするために私の部屋に入った。
部屋の中は私がいた頃と何も変わっていなかった。ホコリも見当たらないところを見ると、誰かが掃除してくれてたのかな。
目に見えない優しさにほっと心が暖かくなる。
しかしふと思いだされるのは先ほどの場面。
少なくとも岡田くんは部屋に入ってきたときに驚いてたと思うんだけど、何も言及せずにいなくなってしまった…。もしかして……。私の中でひとつの仮説が浮かび上がる。
もしかして、カミセンの中ではあれは日常茶飯事なのでは!?
いやさすがにないな…。ありえない妄想を自己完結させた。
コンコンっと軽いノックの音が聞こえた。
『はーい?』
扉を開けると
「あっ、どうもはじめましてぇ、昨日隣に越してきた井ノ原と申しますぅ」
と井ノ原くんがまた何やらよくわからないノリで訪ねてきた。
『どうしたんですか?』
「えぇ〜!Aちゃん冷た〜い!もうちょっと相手してくれてもいいじゃん〜!」
いつもの調子のいい井ノ原くんにふふっと笑いがもれる。
「おっ!Aちゃんの笑った顔!久しぶりに見た!」
『いやそんな…井ノ原くんが面白いから』
「えっ!嬉しいこと言ってくれるねぇ〜!ところでさ、本題いい?」
一応用事があってきたらしい井ノ原くんは、私が頷くと本題へと入った。
「Aちゃん、スマホ出して」
疑問に思いつつもポケットに入っていたスマホを出す。
「また連絡先交換しようよ!Aちゃん、俺らの連絡先消しちゃったでしょ?」
うっ…と思わず苦い顔をする。
「いやいや、別にいいんだよ、俺らの個人情報流したわけじゃないんだからさ!」
ほらっ!と言ってQRコードの画面が映し出された井ノ原くんのスマホを差し出される。
機械に疎い私は色々迷いながらも無事井ノ原くんと連絡先を交換した。
「じゃあまた7人のグループに招待しておくね」
『…ありがとう』
井ノ原くんの絶妙な気遣いに触れるのは久しぶりでなんだかむず痒い気持ちにもなった。
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それ(プロフ) - みるくプリンさん» みるくプリンさんありがとうございます。前作でもコメント頂けて嬉しかったです!次のお話も気長にお待ちいただけると嬉しいです(^^) (2020年12月5日 22時) (レス) id: 11ffe0d4ff (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 完結おめでとうございます&お疲れ様でした!いつも楽しく読ませて頂きました。新作も楽しみです。これからも頑張って下さいね。あ、右の星をポチらせていただきました~(*^^*) (2020年12月5日 17時) (レス) id: e740d416ca (このIDを非表示/違反報告)
それ(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが温かく見守って下さるとうれしいです! (2020年10月10日 16時) (レス) id: 11ffe0d4ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とても面白いですね!続き楽しみにしてす!! (2020年10月4日 19時) (レス) id: f016a9c02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:それ | 作成日時:2020年3月22日 23時