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「杏寿郎さん、そこに正座してください」
「Aも、隣に座るのか?」
「私は正面に座ります」
家で二人で向かい合って正座をして座る。
「今日のアレ、と同じような事が昔も度々あったのですが、もしや、それは杏寿郎さんがやっていたのですか?」
「アレ?」
それは約三時間前に遡る。
*
「あ、桜田さ、うわぁ!!」
「大丈夫!?」
急いで目の前で転けた男子生徒に駆け寄ろうすれば、立ち上がろうとした男子生徒が後ろへと滑り、私から離れる。
「A、おいで。その男子生徒は下心を持っている。危ない」
すっと手を握られて後ろに引かれる。
声のトーンが低かったので顔は見なかったけど。
*
……ということだ。杏寿郎さんはもう過保護っぷりが凄い。
私と母の件で重みを感じているのか、まだ二日しか経ってないけど、ヒシヒシと伝わってくる。
悪気は無いのだろうけど。だから強くは言えない……。
「男子生徒が転けるやつです」
「あぁ、それは君を守る為だ」
目を細めて、少し立ち上がり、私の頬に触れようとする。しかし透けるが。
「君はすぐ人を信用する。それはとても素晴らしい事だが、危ない」
「あ、あの、信用とか、そういうのじゃなくて」
「君は隙があり過ぎる。隙があれば簡単に引っ掛けられてズタズタにされる」
杏寿郎さんの瞳が一際大きくなり、私を見つめる。
決して目を逸らさない。
「君の長所は人を信用してその人に寄り添ってあげられるところだ。だが、変な男に触れられて、その長所が無くなることは惜しい。だから君に代わり、俺が危険因子は全て排除する」
そんな爽やかな笑顔で言われても困ってしまう。
危険因子って、彼は普通の高校生だよ!?
「Aは俺を信じてほしい。誰よりも信用して頼って欲しい。俺は君と共に生きて、共に死ぬのだから」
「っ……ぇ」
私が杏寿郎さんに注意をするつもりが、圧倒されてしまった。
あぁ、まだこのままの私じゃ杏寿郎さんを言い負かす事ができない。
なんとか、しないと。
このまま私の青春が守護霊さんによって消えてしまう!!
ああぁ!!
私の夢を語らせてもらってもいいだろうか。
私の夢、それは少女漫画のような青春を!!
受験で大変なのは分かってる!だけど、このままだと私は恋愛せずに高校卒業だよ!!
多分杏寿郎さんは私の夢分かってるくせに、そんな事してくる。
あぁ!!私の父親と同じような過保護っぷりだ。
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丸(プロフ) - 三月の専属ストーカーなつめみくさん» こんばんは!この作品も私の笑いのツボを集結させておりますので、ツボが浅いと言われたら、私も同じです(/ω\)腹筋シックスパックだなんて!羨ましすぎます!私も沢山笑ったらシックスパックに…!?面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます!! (10月12日 21時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
三月の専属ストーカーなつめみく - さいしょのれんごくさんのよもや!とわっしょい!で吹きましたツボが浅いとか思わないでください。そして続きでまた吹きました。面白すぎて腹筋しっくすぱっくになりました。 (10月12日 21時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
龝(プロフ) - 華さん» 華さん、いつも来てくださりありがとうございます…!夢主ちゃんは兄貴のことを家族のように思っていたので動揺が隠せないようです(*´-`*)しかしこの日を境に意識せざるえなくなるので、ここから動き出しますっ!こちらこそ、嬉しいコメントをありがとうございます! (2021年7月7日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
龝(プロフ) - ゆうさん» 大切な読者さまであられる、ゆうさまにそう言っていただけて、嬉しいです(//∇//)ありがとうございます…!兄貴サイコーですよねっ。毎日楽しみにしてくださるなんて光栄ですっ!これからも気合いが入りますっ!素敵なコメントありがとうございました!m(_ _)m (2021年7月7日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - あきちゃん、こんばんは(*´ `)兄貴、とうとう動きましたね。でも夢主ちゃんは兄貴の事を、恋愛対象としては見てないのかな…?それだと見守るしかない兄貴は辛いですね。続き楽しみにしています!素敵な更新ありがとうございました! (2021年7月7日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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