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「本当にもう、大丈夫か。やはり早退した方がいいんじゃないのか?」
心配そうに見つめてくる杏寿郎さんに私は首を横に振る。
「杏寿郎さんのおかげで楽になったので」
小さな声で話す。
いつもはずっと辛くて苦しいのに。
杏寿郎さんは私の守護霊さんだからだろうか。
気分がいつもよりもずっと良い。
保健室のベッドを降りて、先生から保健室の入室証明の紙を貰って保健室を出る。
まだ授業中だからか、廊下は誰も歩いておらずとても静かだ。
「A、また気分が悪くなれば今日はもう早退しよう。いいな?」
優しく頭を撫でられて、私は何度も頷いた。
頭を撫でられると妙に緊張してしまう。
撫で慣れていないからだろうか。
昔はよく撫でてもらっていたが、高校生にもなるとそういう機会はあまりない。
「A」
「杏寿郎さん?」
見上げると、また撫でられる。
「少し目元が赤いな…変な男が寄ってこなければいいんだが」
「変な男って…杏寿郎さん、ここは学校なので…」
「学校でも君に害を与える輩は大勢いる」
目が怖い、杏寿郎さん。
害を与える輩って。
「いいな?A、気を付けるんだぞ。基本的には俺が判断して追い払おう!」
私の守護霊さんはどうやら相当過保護な気がする。
杏寿郎さんが判断して追い払うって。
守護霊は守るのが仕事かもしれないけど。
度が過ぎるような。
「あの追い払うって、どのように?」
「うむ!それは_____いろいろだ!」
「い、いろいろですか」
いろいろが一番怖い返答である。
いろいろはいろいろだから。
上限がないわけで。
どこまで凄いものか計り知れない。
高校三年のフロアに着いた時には授業が終わり、生徒達が教室から出てくる。
「Aちゃん、大丈夫だった……?さっきの授業のノート見るよね?はいっ」
友達がノートを渡してくれた。
「本当に、いつもありがとう…!!もうなんてお礼を言えば……」
「いいの、いいの!じゃあさ、もし私が困っていた時は助けてね〜」
「うん!」
友人が手を振って廊下に出ていった。
席に座り、ノートを開いて、友人の授業ノートを写す。
「あの子は本当に心優しい少女だな」
「そうなんです。高校一年からずっと仲良くしてくれて」
写しながら杏寿郎さんと小さな声で話す。
「あの桜田さ、うわぁ!!!」
急に目の前で男子生徒が滑って転んだ。
何となく杏寿郎さんの顔を見てはいけない気がした。
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丸(プロフ) - 三月の専属ストーカーなつめみくさん» こんばんは!この作品も私の笑いのツボを集結させておりますので、ツボが浅いと言われたら、私も同じです(/ω\)腹筋シックスパックだなんて!羨ましすぎます!私も沢山笑ったらシックスパックに…!?面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます!! (10月12日 21時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
三月の専属ストーカーなつめみく - さいしょのれんごくさんのよもや!とわっしょい!で吹きましたツボが浅いとか思わないでください。そして続きでまた吹きました。面白すぎて腹筋しっくすぱっくになりました。 (10月12日 21時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
龝(プロフ) - 華さん» 華さん、いつも来てくださりありがとうございます…!夢主ちゃんは兄貴のことを家族のように思っていたので動揺が隠せないようです(*´-`*)しかしこの日を境に意識せざるえなくなるので、ここから動き出しますっ!こちらこそ、嬉しいコメントをありがとうございます! (2021年7月7日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
龝(プロフ) - ゆうさん» 大切な読者さまであられる、ゆうさまにそう言っていただけて、嬉しいです(//∇//)ありがとうございます…!兄貴サイコーですよねっ。毎日楽しみにしてくださるなんて光栄ですっ!これからも気合いが入りますっ!素敵なコメントありがとうございました!m(_ _)m (2021年7月7日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - あきちゃん、こんばんは(*´ `)兄貴、とうとう動きましたね。でも夢主ちゃんは兄貴の事を、恋愛対象としては見てないのかな…?それだと見守るしかない兄貴は辛いですね。続き楽しみにしています!素敵な更新ありがとうございました! (2021年7月7日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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