炎の狂った愛を受け止めて。弐

ごじゅうきゅう＊ ページ9

「A、本当に…すまない……君の事が心配で…」
「嫌い、杏寿郎さんが嫌い……触らないでっ……」



私は杏寿郎さんを睨むと、杏寿郎さんの目が変わった。
その瞬間ゾッとする。


後退りをしようにもあまりの怖さに動けなくなる。




「悪い子だ」
「っ、杏寿郎さんの方が悪いです……！！」
「俺の事を嫌う君はAじゃない。A、俺のA。大切なA。A、愛おしい俺の……」


永遠と呟き出す杏寿郎さん。
まずい、つい怒りで彼の地雷を踏みに踏みまくってしまった。


急に熱が冷めて、冷静になる。
これは非常にまずい。



「杏寿郎さんが女性に囲まれているので……嫉妬したんですよ…？」


嫉妬というワードを出しても全く反応がない。



「君を自由にさせ過ぎたようだ。ほらおいで」


グッと手を掴まれ、床に押し倒される。



「待って、まって、杏寿郎さ、っ＿＿＿＿！！」



杏寿郎さんはリボンを取り出した。
まずい。




「嫌っ、いやっ！！」
「こら、暴れるんじゃない。可愛いA、俺のAなんだから、ちゃんと付けような」




杏寿郎さんは恍惚とした表情でリボンを結び、私に何度も口付ける。
完全に彼を怒らせてしまった。
私も怒ってたのに。


嫌い、というワードだけは言ってはいけなかった…。
もう旅行で杏寿郎さんは精神不安定なのに、忘れてた。



「可愛い……俺のA」
「私も杏寿郎さんが好きです……さっきのは冗談ですよ」



優しく引き寄せて抱きしめると、嬉しそうに頭を擦り付けてくる。
まずい、どうしよう。





「杏寿郎さん、でも私は約束破ったので…怒っているんですよ」
「すまない……一人で部屋にいたら寂しさでおかしくなりそうだったんだ。本当にすまない……」



ぐぅぅぅと強く抱きしめられて、背中が浮く。



「っぁ、わ、分かりましたから…」
「本当にすまない……君との約束を破ったから離婚以外の罰は甘んじて受けよう」
「え…本当ですか？」
「あぁ……ただ、一人で帰るなんて言わないでくれ……俺から離れないで欲しい…本当は大浴場にもついて行きたかった…」



大浴場に侵入よりは確かに入口のすぐ側で待っている方がマシか…。
大浴場に杏寿郎さんが乱入して、大問題になるよりは……うん。




「じゃあ、この首のリボンを取ってくれるだけでいいです」
「リボン＿＿＿」



杏寿郎さんは凄く嫌そうな顔をしたが、これは罰なのだから。
杏寿郎さんは渋々リボンを解いた。

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