星漿体…器の少女天内理子成り代わり (ページ32)

今日:9 hit、昨日:19 hit、合計:65,273 hit

植物状態ページ32

硝｢…んー?｣

家入は携帯を開きメールを打った

悟｢呼んだ?｣

硝｢来たか
さっそく本題
オマエに頼まれた星奨体の少女、死んでないかもしれない｣

悟｢は?今なんて言った?｣

五条は苛立ったように目の前の家入を睨み付けた
人を殺しそうな、それに晒された家入は、そんなことは知らぬと自身の困惑を紛らわすように頭を搔いた

硝｢だから彼女、死んでないよ
たぶん｣

顎で指された先には死んだ"ように"眠るA
その体はピクリとも動かない

悟｢嘘だ!!｣

硝｢多分、嘘じゃない
その為にオマエを呼んだんだ｣

悟｢嘘に決まってんだろ!?｣

勢い良く掴んだ家入の襟首をがくりと揺さぶると、家入は息苦しさに眉を顰めた

悟｢ありえない!!多分てなんだよ!!
それにコイツ頭撃たれたんだぞ!?
しかも呪力も使えねえ!!反転術式なんて、もってのほか!!
死んでねえわけ…もうやめてくれ…｣

強く掴んでいた手は力が抜け五条は俯いた
その顔は見えないのに声は泣いているかのように震えていた

硝｢慰めなんてオマエにするくらいなら犬猫にする
私にも確証はない
けど傷痕が消えてるのと微かに呪力を感じる
だからオマエを呼んだんだ
呪力がなんなのか見てもらうために｣

家入は圧迫された首元を労わるように撫で、悩ましげに深い溜息を吐いた
五条が信じられないように家入も家入で受け入れきれていなかった

硝｢あと死んでないだけで脳死の植物状態だ
信じられないけど見たら分かるように傷は消えてるが夏油の証言と血の付着箇所からして即死は断定的だ…｣

今は人工呼吸器で無理矢理呼吸をさせている状態だが、いつか目覚めて必要なくなるかもしれない

硝｢付着した血も本物だし偽装の線は薄い
傷痕が治ってるのも呪力を感じるのも気になる
オマエはどう思う?｣

動かなかった五条の頭が持ち上がる
その瞳は疑心と不安と微かな期待に揺れ、Aの放り出された手を両手で握りしめた

悟｢…ピアスから不思議な感じはしてたけど呪力を感じる
天内からも微かに呪力が…初めて会ったときには感じなかったが…｣

微かに冷えた指先が動く、五条は目を見開くとギュッと手に力を込めた
動いたのが気のせいだったとしても希望をだいた

硝｢まぁ今日はもう遅いし一旦帰れ｣
悟｢あぁ…またくる｣

五条はAをみて目覚めるのを待つと覚悟を決めた

悟｢せめて夢の中では幸せな夢をみてくれ
心はオマエと一緒にいるから目覚めるまでオマエを待ってる｣

そう呟くと五条はAの額に唇をよせた