Valkyrieの強火オタクが魔王様と距離ができる話

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ガラのわるそうな生徒が何人か倉庫に入り込む

がちゃり、と音を立てて倉庫は閉まり、もう逃げ場はないようだ



｢１回朔間零のことぼこぼこに殴って見たかったんだよな｣
｢ばっか、目の前にいんのは朔間零じゃねえよ｣
｢それでも朔間零の女なんだろ、変わんねえよ｣



引きつった笑いを浮かべながら、一人の男が近づいてくる



｢はは、恨むなら、自分の男を恨めよ｣




鈍い音を立てて、身体が弾き飛ばされる
殴られた、と理解するまでに数秒を要した



それを皮切りとして罵声を浴びせながら殴る、蹴る、また蹴って、殴る
顔を避けて、服で隠れるようなところばかりを痛めつけるのは、最後の良心のつもりなのだろうか



腕の中には、交換日記
それだけは守らないと



ぎゅっと握りしめて、耐え続ける



どれほど経っただろうか
ようやく男たちも飽きたのか疲れたのか、攻撃が緩まる



勝った
交換日記を守りきれたなら何されようと私の勝ち



『ふふ』



自然と笑みが浮かんだ





｢笑ってるぞこいつ｣
｢気味わりぃな…おい、もう行くぞ｣




どたばたと音を立てながら男たちが倉庫を出ていく





気が緩んだのかそれまではっきりとしていた意識がふっと遠のく
痛みも急にずきずきと全身の感覚を支配し始める




薄れゆく意識
もうこのまま、会えないのかな、なんて考えて






『れ、い、』






こういうとき、王子様なら名前を呼んだら現れてくれるのだけれど、あいにく彼は『魔王』だから





最期に、会いたかった






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