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焼却場近くの倉庫、といってもひとつではない
左右にずらっと並ぶ倉庫のどれにAがいるのか皆目検討もつかなかった
片っ端から調べるしかないか、と一番手前の倉庫に足を向ける
「れ、い、」
空耳じゃない、本物の声
今にも消えてしまいそうな、小さな声だけど
間違いない、絶対間違えたりしない
『おいA!いるんだろ、どこだ!』
もう、声はしない
『くそっ』
声のした、奥の方へ
最奥から2番目、左の倉庫が不自然に半分開いていた
重い扉を引くと、こちらに背を向けた格好で横たわる人影
その腕の中には1冊のノートがある
『A、聞こえるか?』
うっすらと目を開けると、掠れた声をあげる
「れ、い、きてくれたんだ。みて、交換日記、まもれ、たよ」
それだけ言ってまた目を閉じる
バカ、そんなことより自分のこと優先しろっつ〜の
『A、』
再び呼びかけるがもう反応はない
呼吸も脈拍も正常
顔に傷はないが、脚や腕にひどい鬱血痕
もしかしたら骨折しているかもしれない
時々苦しげに顔をゆがめる
傷が痛むのだろう
意識がない以上、病院へ連れていかなければ、と思うけれど、スマートフォンは手元になく、誰にも助けを呼べない
海外をとびまわっていたせいで、夢ノ咲付近の病院の場所もわからない
かといってこのままここに放置するわけにもいかない
『くっそ…』
普段から連絡手段を持たない自分を恨んだ
Aを抱え、また走る
行き先は、アイドル科の三階廊下の突き当たり
生徒会室へ
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ゆゆちゃん(プロフ) - 夜桜 奏さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!更新早いのがだけが取り柄なので頑張りますっ笑 (2019年9月13日 22時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 奏 - 健気すぎる夢主ちゃんに涙です…頻繁に更新して下さりありがとうございます!いつも楽しみにしています (2019年9月13日 21時) (レス) id: dd2c6bf5e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - 月見団子さん» ほんとですね、申し訳ありません!非公開外しておきました。。気をつけます! (2019年9月13日 17時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
月見団子 - いつも楽しく読ませていただいております。えーと…『75話』が抜けてません? (2019年9月13日 17時) (携帯から) (レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - うみさん» そう言って貰えて嬉しいです!こちらこそありがとうございます! (2019年9月13日 2時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆちゃん | 作成日時:2019年9月11日 1時