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▼ CCS :【風が通り抜けるように】ユエ ページ3

全てのクロウカードをさくらカードに変えた後、平和すぎる日常がそこにはあった。
レイラは嬉しそうに道を歩く。
…桜の舞う季節、レイラが大好きな季節。
そして今の主であるあの子に出会ってから、一層好きになった。

…そんなレイラの向かう先は、これまた大切な存在である月城雪兎の元である。今日は美味しい茶菓子を頂いたからと突然のお誘いを頂いたのだが、レイラは特に用事もなく快く誘いに乗った。
桃矢も誘ったらしいが生憎バイトらしい。
何を話そう、何をしよう、そんな事で頭がいっぱいでも気がつけば雪兎の家の前であった。

戸を叩いて返事も待たず無遠慮にドアを開いて一声掛ける。雪兎の声が聞こえて、ワクワクする胸の内を悟られないように、声のする方へと足を進める。
そしてその部屋の襖をそっと開いて見えた影に、勢い良く飛びついてから違和感を覚える。

『ゆ、雪兎じゃない…』
「私では不満か」
『いや、え、その…う…』
「久しぶりにお前に会いたかった。…それでは不満か?」

するりと頬を撫でる白い手に、レイラはたじろぐ。赤い頬を悟られぬように俯くがそうはさせないと言わんばかりに今度は両の頬をユエの白い手が包み込んだ。

『ユエ、なんかへん』
「気の所為だろう」
『久しぶり、だね。さくらちゃんの一件以来だから…数ヶ月とか?』
「レイラに会うのは、だな。…雪兎を通して見るお前とはやはり違うな…美しい」
『やっぱり変〜…なに…』
「…レイラは見せてくれないのか?…真の姿」
『うっ…押しに弱いの知ってるくせに』
「ふん」

さくらにはよく驚かれるが、ユエはレイラの前ではとても饒舌である。好きだ、美しい、抱きたい…数々の愛の言葉も素面で言うのだからレイラは毎度たじたじである。
顔を真っ赤にしながらもスッと目を閉じ白い翼に包まれるレイラ。次に翼が開いた時には真の姿のレイラがそこにはいた。

「…好きだ」
『うん、知ってる』
「翼を仕舞え」
『ふふ、ユエらしい』

笑って、翼を引っ込めれば、途端に強い力で引き寄せられ、抱き締められる。
雪兎とは違う、ユエの香りに、雪兎の時とは違う安心感を覚えてそっとユエの背中に手を回した。

『ユエ』
「…ああ」
『好き』
「そうだろうな」
『ばーか』
「お前がな」

その言葉にレイラはカラカラと笑って、ユエの首筋に顔を埋める。
当たり前ではないこの時間が、愛おしいと、ユエも、レイラもただただ黙ったまま幸せを噛み締めた。

▼ hpmi :【蹴飛ばされる石の如く1】碧棺左馬刻→←▼ CCS :【諸々設定のみ】



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作者名:たまの | 作成日時:2018年12月15日 19時

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