▼ hpmi :【Not yet】山田一郎 ページ13
見た目の通り、ド直球そのものな僕の恋人…山田一郎。
告白だって一郎からで、「好きだ、付き合ってくれ」の一言だ。幼馴染というのもありかなり照れてしまって、男だの女だの、うだうだ最後まで言っていた僕であるが、一郎の真っ直ぐな思いと声に、yesと答えたのはもう何年前のことだろうか。
「彼氏の前で考え事か?」
『一郎の事が好きだなあって』
「なんだそれ、まじでレイラって可愛いよな」
『一郎の恋人ですから?』
「やっべーまじで我慢できそうにねぇ。襲ってもいいか?」
ラノベを嗜んでいた一郎はそういうや否や鼻息荒く少し離れた僕の元へと寄ってき始めた。正直こういう所は残念だなと思う。好きだけど。
『だーめ。二郎くんと三郎くんがいる』
今にも口付けようと近づけてきた一郎の顔を両手で挟み込む。一郎は僕の言葉にぎくっとしたような顔を浮かべてから、少しだけ触れ合うキスをして顔を離していった。
「…明日レイラん家行くから」
『うん、いいよ』
「意味わかってんのか」
『そこまで子どもじゃないし、…最近ご無沙汰だったし』
「…」
『なんか言ってよ、恥ずかしい』
「…今ぶち犯していいか?」
『それはダメ』
一郎にそう告げて、立ち上がる僕に一郎はなんだと言いたげな目でこちらを見つめてくる。
普段見上げている一郎が僕を見上げているのがなんだか可愛くて、つい頬が緩んでしまうのを一郎が見逃すはずがなく。
「なんで今笑ったんだよ」
『ひゃっ、擽った!やめてよ〜!』
僕と同じく立ち上がった一郎に後ろから抱き着かれお腹を擽られる。ひとしきり笑って、一郎を振り返れば同じく一郎も頬を緩ませている。
『何笑ってんの』
「こっちの台詞だろ。なんで笑ってたんだよ」
『んー、一郎が可愛くてつい』
「奇遇だな。俺もレイラが可愛くてつい、だ」
お互いの言葉にまた噴き出す。
そのまま手を絡ませて、僕は一郎を引っ張り部屋の外へと誘導した。
「どこ行くんだ」
『ご飯作ろ!そろそろ夕飯の準備しないと』
「カレーがいい」
『そのつもりで具材買ってきてある』
「さすが俺の嫁」
『はいはい旦那さん、ちゃんと手伝ってよ?』
カラカラ笑う僕と、少し照れ臭そうな一郎。
一郎の考えてることなんてお見通しだし、好みだって誰より理解してるつもり。
いいお嫁さんになるって、自信もって言える。
…キッチンへつくと一目散に準備を始める一郎を見て、一郎もきっといい旦那さんになるんだろうなって思った。
本人にはまだ言わないけど。
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作者名:たまの | 作成日時:2018年12月15日 19時