Horse's neck

ー ページ41

『そいつ、だいぶ前から夕希子さんに医者を辞めたいと言っていたんだ。


もう医者として人と関わるには心が限界だった。



だが、夕希子さんはそれを止めようとした。




“解剖医ならどう？“



色んな道を考えて、提案してくれた。





それでも、そいつはもう嫌だったんだ。





その日ついに爆発してしまった





そのまま、酷いことを言って出て行ったんだ』




Aの顔が苦渋に満ちる





三「じゃあ、そのまま会えないまま……？」







『その日の夜連絡があった。



“今日は、ごめんね。





ピンクのカバの絵本出来上がったんだ。







明日、見に来てね“




でも、次の日会うことなんかできなかった。






聞いたのは、






“恋人だった中堂系が糀谷夕希子を解剖した“




“証拠隠滅をはかったらしい“




“もう一度解剖することになった“





それを聞いて、




記録係として解剖に立ち会った』




Aはスマホを手に取りながら話す



『当時解剖医だった先生に頼み込んで記録係として参加させてもらった。


もちろんその後非難が集まってそいつはその地位をなくした



地位なんてどうでもよかったやつからすれば、痛くも痒くもなかった







そして、中堂さんが逮捕された』









中「なぜそいつは俺の無罪を主張した？





夕希子を殺したかも知れない俺を庇う理由はなんだ？」






『それは……』





Prr……



所長室の電話がなる






『来たか…』





Aの呟きに皆が怪訝そうな表情を浮かべる




『所長、出て』

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