Horse's neck

ー ページ22

『お前は宍戸を知っているのか…！』


声を絞り出すように話すAから表情は消え久部の背中には冷や汗が滲む



久部の脳裏に映るのはバーで交わした宍戸との会話


───────────

宍「最近AAってどんな感じ？同じ職場でしょ？」



久「イライラしてますけど…って！なんでAのこと知ってるんですか？」



宍「知ってるに決まってるじゃん。孤高の医師だし。この前接触したら良い反応くれたんだよね」



楽しそうに話す宍戸


久「Aに何を言ったんですか？」


宍戸を睨む久部



宍「ここだけの話、あいつの妹も赤い金魚の被害者なんだよね。」



久「梓さんも？」



宍「さらにさらに、孤高の医師だったAを変えた人8年前の事件で殺された糀谷夕希子」



久「糀谷夕希子って！！」



宍「そう。中堂の恋人だった」


久「ならなんでAは中堂さんを知らないふりを…」


宍「それにしても面白かった。糀谷夕希子の名前を出すだけだけでAは孤高の医師だった頃に戻る」



久「孤高の医師ってなんですか？」
　

宍「え？知らないの。また記事送っとくわ」


──────────


久「知り合いから聞いた」


慌てたように弁明する久部をじっと見つめる

　

2人の間に気まずい空気が流れる



『なあ久部』


その空気を打ち切ったのはAだった



久「な、なに？」



『お前さ、ミコトのこと、好きだったよな？』



久「うん」



『じゃあさ、いざとなったらミコトのとこ頼むわ』



久「は？」



それっきり2人の間に会話はなかった

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