Horse's neck

ー ページ23

数週間前とあるバー


宍「初めましてA先生」
　

『誰です？』


にこやかな笑顔で適当に相手をするA



宍「ジャーナリストの宍戸といいます」



名刺を出す宍戸を無視する



『それでジャーナリストがなんの用です？久部のことですか？』



宍「いえいえ。赤い金魚のことで」



『赤い金魚？そりゃ金魚は赤いものが多くないですか？まあ、個人的には黒い金魚が好きですが』


のらりくらりとかわすAに苛立ちがつのる宍戸



宍「A梓の事件。あんたが解剖したんだってな」




『ええ。お蔭様で警察に捕まりましたね』



宍「赤い金魚だったんだろ？」



『人は金魚ではありませんよ？』



それでも表情を変えないA


宍「糀谷夕希子」


宍戸のこの一言でAの表情は消えた


『その人がなんだ？』



宍戸はAの表情が、変わって満足げだ


宍「やっと孤高の医師だった頃の顔になった。俺あんたのその顔好きだよ」




『あいにく男に好かれても嬉しくないね』



宍「三澄先生みたいなひとに好かれたい？」



『なにが言いたい！！』



Aが持っていたグラスをカウンターに叩きつける


宍「9年前、あんたは糀谷夕希子と親しい仲になった。」



『親しい仲か』



宍「中堂系が憎いだろ？」



『あいつは犯人じゃない』



宍「8年前も、あんたはそうやって警察に訴えかけた。そして解剖にも口出ししていつもなら口内炎で済むような口内の傷も写真を撮らせた」




『なぜお前がそこまで知っている！！お前が殺したのか！？』


Aが宍戸の胸ぐらを掴む


宍「お前の大事な人はみんな死んでいく。三澄先生も気を付けた方がいいんじゃないか？」



宍戸がAの手を振り払う


宍「みんなお前のせいで死んでいく」
　

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