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数日後
ラボには町田さんのご遺族が来ていた。
解剖したAと一緒に、自分も町田さんの遺族の方と話がしたいと久部は説明に参加していた。
『まず死因を説明させてください。後頭部の骨折は棒状の、鈍器のようなもので殴られた痕でしたが階段の柵に町田さんの血痕を見つけました。』
久「血痕があったのはここ。スナックのドアの前。
話を聞いたところ、小規模なバックドラフト現象が起きたと考えられるそうです。気密性の高い室内で火災が発生して、室内の酸素を使い果たすと、沈下したような状態になります。
そこへ、やってきたのが、三郎さんです。
ドアを開けると、一気に酸素が流れ、爆発を起こします。
三郎さんは、背後に吹っ飛んで、柵に頭を打ち付けた。
その時に、後頭部を骨折。」
『事故だったんです』
Aは淡々と説明していく
『起き上がった町田さんはスナックのなかにいる生存者を確認。救出しました。
ロープ使って
実際に、生存者は当時、火元のスナックに居たそうです。
消防士の、背負い搬送縛りという、縛り方でした。』
両親の目に涙が浮かんでいく
久「その後、再び三郎さんは中へと戻りました」
「なんで…?」
久「そこが、大切な場所だったからです。
まるでここが、自分の家みたいだと言っていたそうですり
だから、みんなを助けるために中へと入ったんです。」
『町田さんには、食い込むほどのロープの跡がありました。
これは、何往復も、何人もの人を運んだからです。』
久「三郎さんは、酔っぱらっていったそうです。親父とおふくろ何してるかなって。
今頃餅食ってるかなって。故郷の餅はうまいんだって。
ほんとは、帰りたかったんだと思います。」
『大切なあなたたちがいる我が家へ』
母親は涙を流しながら息子の死を嘆いた。
「帰って来れば良かったのに...
毎年、待っちょったのにねぇ。馬鹿な子だい」
父親は写真に写る成長した息子の姿を見つめながら語った。
「私は、消防士でした。ロープは私が教えました。
覚えとったやなぁ、三郎」
ご両親は涙を流しながら息子との別れを悔やんだ。
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SEI(プロフ) - 梨さん» 終わっちゃいましたね…。頑張っていきますので、よろしくお願いします (2018年3月16日 23時) (レス) id: 09ecd64171 (このIDを非表示/違反報告)
梨 - SEIさん» アンナチュラル終わっちゃいましたね……。これからはここの更新を楽しみにします。 (2018年3月16日 23時) (レス) id: 366a3518b4 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの女です - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください( *´°`)また勝手にお邪魔します笑 (2018年3月13日 21時) (レス) id: 75dde93375 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 梨さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします (2018年3月9日 15時) (レス) id: 09ecd64171 (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 続編おめでとうございます。 (2018年3月9日 15時) (レス) id: 366a3518b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SEI | 作成日時:2018年3月8日 22時