終章 ページ13
数百年が経過した現代にて……
「また、あの夢……やばっ、遅刻！！」
私はとある芸能雑誌のライターをしています、Aです。
今日は浦島坂田船という、ボーカロイド曲を歌っているグループの
特集記事のために彼らの取材をするのですが……
「似てるんだよなぁ、このうらたぬきって人…夢で出てきた吸血鬼に。」
まぁ、夢だしね。やけに記憶に残るけど。
あれだよ、取材対象だからって色々下調べしてたからその影響だよね。
そう脳内を切り替えて設定した会議室に向かう。
「よかった、1番乗りだ。」
取材担当が遅かったら相手に対して失礼である。
編集長が毎日口癖のように言ってる言葉だ。スタッフよりも早く到着しろ。
これがうちの職場の鉄則である。
「おはようございまーす。うらたぬきです。」
「え、うらたぬきさん？」
「はい、ちょっと早く着いちゃって…大丈夫です……か？」
「えぇ、大丈夫ですよ…？」
スタッフよりも早く着いたうらたぬきさん。なんで言葉が途切れたんだろう。
不思議に思いながらまずは挨拶をと、振り返って彼を見ると
なぜか彼は静かに涙を流していた。
「うらたぬきさん…？」
「……っと……え……た…」
「え、ど、どうして泣いてるんですか……」
「やっと……やっと、会えた……！！」
「え…！？」
やっと会えた。確かに彼はそう言った。
私を抱きしめて、耳元でそう………
―――俺が、絶対にお前を見つけ出す。何度生まれ変わっても絶対に。
その瞬間、最近見ていた夢が脳内を駆け巡った。
……違う、あれは夢なんかじゃない。
私は……この人を知っている……何百年も前からずっと。
「うら…た……さん。うらたさん…なんですね。」
「そうだよ…やっと、やっと見つけた…」
「忘れないでくれたんですね…」
「当たり前だろ」そう言いながら抱きしめる力を強くする彼に応えるように
私も彼の背中に手を回した。最期の別れの……あの時みたいに。
「何度生まれ変わっても、Aのことを忘れたことなんてない…」
「うらたさん……」
「やっと、やっとお前に言うことができる……」
「は…い…」
「太陽の中で……今度こそ、ずっと一緒にいよう…」
「うん…！」
「愛してる。」囁いた言葉と共に重なる唇。
最期と一緒だけど、一つだけ違う。最期じゃない、始まりだから。
「A、もうずっと一緒だから…離さないから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天霧 珠響(プロフ) - 号泣したあああああああ｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡素晴らしい作品でした！！！ (2020年6月30日 20時) (
レス) id: 6d7b469f38 (このIDを非表示/違反報告)
真冬（まふさん）(プロフ) - すごく泣けましたヽ(；▽；) (2019年12月30日 22時) (レス) id: 357271c7c9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 泣けました。(僕、これ読み終わった後に服が涙で濡れてたとか知らない(/ _ ; )) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 4127dbd5b5 (このIDを非表示/違反報告)
アニメヲタク(プロフ) - はじめまして！他の作品も見させて頂きました。凄く感動しました。素晴らしいストーリーですね！！ (2019年4月15日 0時) (レス) id: 0ec9b45328 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - momoheartさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて、泣き初め…というのでしょうかね？いただけてすこしでも表現したいこと伝わっていれば幸いです…！お読みいただきありがとうございました！ (2019年1月8日 1時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Elice | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Elice_id/
作成日時：2018年10月18日 1時
