第40話 ページ40
「嬉しそうですね、何かいい事でもあったかい?独歩くん」
「え、え、そそうですか?」
仕事で私の勤め先に来た彼はいつも隈が酷く暗い表情なのだが今日は血色もよく表情も明るい。
「顔色もいつもよりいいからね」
「じ、実はですね…そ、その…き、き、気になっている人と仕事でじゃなくて私的で会えるのが嬉しくて」
「それは良かったね とても素敵なことだと思いますよ」
彼は、あ、ありがとうございます…と俯いて照れてしまった。
可愛らしいなと思いつつもどんな女性なのかを考える。
「独歩くん、その方はどのような女性なのかな」
ビクッッと身体を震わせ彼は持っていた資料をバサバサと落としてしまった。
慌てて床にちらばった資料をかき集めながらボソボソと聞こえる言葉。
じ、じょせい…じゃ…ない…です、と消え入りそうな声で言った彼におやおや…と思う。
相手が女性では無いという所に驚くことは無いがそれよりも彼に恋ができるくらい心に余裕が出来たことに喜びを感じる。
これほどまでに彼の表情を変えてしまう其の人物に興味がわいてしまった。
「年下ですけど俺の方が年下かってくらいかっこよくてしっかりしててかっこよくて…」
兎に角かっこいい人なんだね、その想い人を想像しているのだろうか今まで見たことないくらい目が輝いている
「是非会ってみたいものだね」
「確か前に看護師として働いていたと言ってました」
「同業者か…もしかしたら、知り合いかもしれないね」
「その人とはシブヤで会う約束なんです」
「…シブヤ?」
いけない…シブヤと聞いて思わず反射的な返してしまった。
「えっ、あ、えっと、いつもはシンジュクなんですけど今回はシブヤでと言われて…」
それでですね…と彼は少し言い淀んで俯いて言った。
「一二三と先生の話をしたら是非会ってみたいって言ってて今度の土曜に会うのですが先生の都合とかは…」
どうやら独歩くんによると一二三くんも行くと張り切っているらしく独歩くんは苦笑しているが楽しみなようだった。
「そうだね、土曜日は午前だけだからねお昼からなら…」
「ありがとうございます!!では、土曜のお昼に」
その他にも本来の目的でもある仕事の資料やお話を聞いて独歩くんは帰っていった。
「看護師…か…彼じゃないといいけれど」
その声は誰に届くでもなく入ってきた看護師の声によってかき消された。
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たかし(プロフ) - 咲夜さん» ご指摘ありがとうございます。ご指摘の件について訂正致しました。ありがとうございます。 (2019年12月1日 7時) (レス) id: 77e33eaa81 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 16話の辺りの話で「観音寺さん」となっている所は「観音坂さん」では無いでしょうか? (2019年12月1日 2時) (レス) id: 7c299e15d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たかし | 作成日時:2019年11月20日 23時