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第31話 ページ31

「すいません、ここにこんな指輪取り扱ってないですか?」

依頼者から預かった指輪の写真を海坊主(仮)の旦那に見せる。

「あぁ?てめぇ見ねぇ顔だな」

話しかけたらいきなり凄まれた…ここ日本やんな?

「まぁ…ここでは、暴れたことないんで」

「ほぉ…肝が据わってるじゃねぇか兄ちゃん」

伊達に修羅場くぐってきて無いんで

「あるぜ、その指輪」

「本当ですか?!是非譲って頂けませんか」

「どのくらいの気持ちをくれるんだ?」

「…あなたがこの指輪につけた価値で構いませんよ」

この店の温度が下がるのを感じる。

これは、殺気だ。

まぁ、殺気を向けられようが俺には関係ない

可愛い弟達のためにも仕事はきっちりとこなさないと

どんな仕事でもね

「なら、500万でどうだ?」

「構いませんよ」

バカにするようにこちらを見てくる海坊主(仮)の旦那

「1000万でもお前は出せると?」

「もちろん、あなたがこの指輪にそれだけの価値をつけたということですよね?」

サングラスの奥の瞳がギラりと光り、俺は表情を変えないまま旦那を見る。


「…お前さん、随分と命知らずだな」

フッ…と緊張感が解けたそんな空気を纏った海坊主(仮)の旦那

「今のところ危ない橋を渡れなかったことはないですから」

「持ってけ」

そういって、旦那は指輪をこちらに投げてきた。
それを片手で掴み指輪を確認する。

同じものだな。刻印も書いてある

「ありがとうございます…今度は仕事じゃなくてプライベートで会いたいものです」

踵を返し俺は店を出る。扉を開けた時背後から空気が漏れるように笑う声が聞こえた気がした。



「見つかったのかー?」

声は聞こえるが辺りを見渡しても帝統の姿は見えない。

ちょいちょいとズボンの裾を引っ張られ下に視線を向けると足を広げてしゃがんでいた帝統がいた。

まさか、待っててくれているとは…てっきり帰ってるものだと

「待っててくれるなんて驚いたよ」

「ん?あぁ、なんか知らねぇけどアンタの事待ってたわ」

えぇ…何この子飼い主の帰りを待つ犬みたい

なんだろうこの…構ってあげたくなる感じ


「…帰る家ないならうちくる?」

無意識にポロっと出た言葉。
俺の言葉に目を輝かせパタパタと尻尾を振る大型犬

「うお、まじ?!」

あぁ…そんなキラキラな目で俺を見るんじゃねぇ!!


なんか、最終的に負けた気がするだろ!!

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たかし(プロフ) - 咲夜さん» ご指摘ありがとうございます。ご指摘の件について訂正致しました。ありがとうございます。 (2019年12月1日 7時) (レス) id: 77e33eaa81 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 16話の辺りの話で「観音寺さん」となっている所は「観音坂さん」では無いでしょうか? (2019年12月1日 2時) (レス) id: 7c299e15d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たかし | 作成日時:2019年11月20日 23時

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