故に ページ7
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俺はここ現世吉原で生まれた。
そして孤児で社会的底辺のΩだ。
Ωはαの子供を産むことに長けているが、ヒートのコントロールが必要で、月に1週間はその期間があるので普通の職にはつきにくい。
そして男性でも子供が産める。
なのでαはよりαの遺伝子を残しやすいΩに子供を産ませることが多い。
男女関係なく子供を産む道具にすぎない。
だから底辺。
母はΩの遊女で、客との間に俺ができた。
相手は大層なαのお方だったようで、子供ができるのはまずい人だったらしい。
母は焦った。
バレば身重の体のまま消されてしまうかもしれないからだ。
臨月までは店が用意した切り店で隠れて、俺を産んだ。
そして生まれたばかりの俺を捨てた。
それしかなかったのだろう。
ここから出られない遊女は年季が明けるまで稼ぐしかない。
俺はというと、黒髪に珍しい金色の瞳とΩだったので、今の月島屋の主人に拾われた。
親代わりといえば親代わりだが、この現世吉原という場所を教え込んだのも主人だ。
俺に男を教えたのも主人。
育ててくれた恩は感じるが、決して優しいだけでないタバコの匂いのする金色の長髪。
元からここは地獄だった。
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作者名:夜兎 | 作成日時:2023年9月5日 22時