恋って怖い ページ6
ぎゃーぎゃーお互いに叫んでいるとジャリテンが再び引き出しを漁る。そしてまた何かを見つけると一瞬喜びを浮かべたが、すぐにしゅんとしたような表情を見せる。
「そしてこれが〜わ、わいが燃やしてしまったラムちゃんのマフラーの燃えカスや……ごめんなラムちゃん……」
「ううん、いいっちゃよテンちゃん。マフラーくらい、またいくらでも作れるっちゃ」
ラムが相変わらずジャリテンを甘やかすので、このままでは彼のためにならないと思い俺はわざとらしく声をあげる。
「あーあージャリテンが燃やさなければ俺は今頃ラムのマフラーをそこに飾っていたんだろうなぁ〜。あーあ残念だなぁ〜…とても残念だなぁ〜」
「う、うるさいわいっ！ラムちゃんが許してくれたらそれでいいんやっ！」
「アホかっ！ラムが俺にあげたものなら俺のものに決まっておろうが！俺にも誠意を持って謝罪しやがれこのヤロー！」
「ダーリン、マフラーならいくらでも作れるから……」
「そういう問題ではなーーいっ！」
そして一部始終を見ていたレイがまた何かを伝えたそうにこちらを見つめてくる。レイは燃えカスとなってしまったマフラーを指差した。
「らむ、それ、くれ」
「これか？もうマフラーの形は影も形も残ってないぞ」
「ダーリン！あげちゃダメ！」
俺があげるとでも思ったのか、ラムが慌ててそう叫ぶ。絶対あげるものか。このマフラーの燃えカスがある限り一生ジャリテンの良心をいたぶれるからな……。そう思ったが、ジャリテンはふるふると首を横に振る。
「違うんやて。レイもラムちゃんにマフラー作って欲しいみたいや」
「ほーほーなるほど新品をね。図々しいやっちゃな、別れた女にマフラーをせびるとは」
「本当だっちゃ。いい加減うちのこと諦めたらいいのに」
ラムが腕を組み、冷ややかな視線をレイに向ける。レイは突然ラムの手を取ると、あの美形の姿で何かを言い始める。
「らむ、すき、ずっと。おれ、必要、ラム」
「お前に必要なのは飯だけじゃ！！」
すぱーんっとハンマーで後頭部を叩いてやると、レイがこちらを向く。にやりと笑うのでこちらも釣られて笑うと一気に牛型に変身したレイに首を掴まれる。
「うわぁ！や、やめろレイ！」
「あぁ！ダーリン！」
「恋って怖いな〜わいは清純な恋をしよっと」
呑気にジャリテンが呟くと、ラムが飛び上がり、レイの腕を強く蹴り始める。噛み付いたり、殴ったりしてもびくともしない。
「こうなったら〜！」
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作者名：如月フウカ | 作成日時：2022年11月2日 21時
