救命医の家族

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あの交通事故から約2週間がたった。

今ではドクターヘリも稼働しており、皆日常を取り戻していた。

＿＿＿一部を除いて。




「俺が、…俺の、せいで」

睦月はぽつりと呟く。

白石はその言葉を彼の経過観察をしながら聞いていた。

睦月は目が覚め、Aの容態を聞いてからずっと自身を責めていた。


「…青山先生のせいではありません。事故のこと伺いました。あれはあちらに落ち度があります」


きちんとした詳細は耕作は言わなかった。

しかし今はネットやテレビなど、自ずと情報は耳に入ってくる。


「あまり、自分を責めないで下さい。きっとAもそう思ってると思います」


そう言って、白石は視線を端の方へと向ける。

そこには耕作と緋山の姿があった。






「予定通り出産はこの日でいいのね？」

「ああ。構わない」

「白石にはその日、私と藍沢はヘリから外してもらう」

「…あぁ」

「……私、ステーションの方に戻るわ。藍沢、あんまり無理しないでよ」

「…」


緋山は耕作を1人残しそこを去る。


「……A、…」


耕作はぽつりと妻の名前を呟くが、彼女からの反応はない。

ただただ、モニターの機会音だけが響いてるだけであった。



「…藍沢は大丈夫なのか？」

「大丈夫、とは言えないと思う。Aがあれじゃあ…」


藤川は戻ってきた緋山へと声をかけた。

緋山は心配そうに視線を向ける。

連られて藤川もそちらに目を移した。


「…昏睡、か」

「今の状態から回復は難しいと思う」

「で、藍沢は？」

「出産を希望してる。Aの件に関してはまだ考えてるみたいだよ」


緋山は椅子へ腰を落とす。


「俺は何も出来ないのがもどかしいよ」

「…奇跡ってやつを信じたいわ。医者としてじゃなく、私個人として」

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