検索窓
今日:11 hit、昨日:7 hit、合計:545,129 hit

18 ページ19

♦︎流産について記載してあります。ご注意下さい♦︎






それは前触れもなく訪れた。

人はとても複雑で…。



今朝、藤川に助けになってやると伝えたばかりであった。




冴島の流産。

妊娠初期にはよくあることだ。

珍しいことではない。

ただ本人にしてみれば何故、どうしてと自身を責めているだろう。

どうしたって本人の痛みはわからない。

俺が分かるのは、藤川の気持ちだけ…





***********


耕作は着替えも終わり帰宅しようと暗い院内を歩いていた時だ。

目の前の椅子に藤川が座っていた。

両手には、今朝探したと話していたトマトが握られていて、それを口にしていた。


「なにやってる」

「…だって、思い出されたらかわいそうだろ?だからって捨てる訳にはいかないし」


耕作は藤川の隣に置いてあるまだ箱詰めされたトマトへと視線を向ける。


「…ひとつくれ」


藤川は箱から一つ取り出すと。それを耕作へと投げた。

耕作は受け取ると椅子へと腰掛けた。


「…藤川、これはお前にだけ話す」

「あ?」

「…Aも、流産を経験した」

「…!」


耕作は先程受け取ったトマトを見つめ、話出す。


「…第一子、稽留(けいりゅう)流産だった。よくある事だと説明したがAは自分を責めたよ」


藤川は耕作を見つめる。


「あの時は、どうすればいいのか分からなかった。男の俺には一生経験することはない。なんて声をかけるべきなのか…。次第にAも落ち着いてきて話し合った、これからどうすべきなのか。」

「…」

「そのときだった。双子の妊娠が発覚したのは」

「…そう、だったのか。藍沢も大変だったんだな…」

「…藤川」



耕作は視線を合わせた。


「人は幸せになるために結婚するんじゃない。辛い毎日を二人で乗り越えるために結婚するんだ。…俺はそう思う」

「…ありがとな、藍沢」



会話を終えると、二人はお互い手にもっていた赤く輝くトマトを口に運んだ。









_____


軽々しく流産について書いてしまい、中には不快な思いをされてしまった方もおられるかも知れません。
実際に体験もしたことはありませんが、これを書くにあたり初めて色々と調べさせて頂きました。
安定期であっても流産(死産)するなど、実際に自身が妊娠してみないと分からないことばかりで、本当に出産とは大変な事なんだと改めて感じました。
色々とご意見はあるかと思いますが、何卒ご容赦くださいませ。

感謝→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (359 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1495人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

笹原美桜(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2021年10月31日 20時) (レス) @page26 id: 9ad5622aaa (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 続きがとても気になります!お忙しいとは思いますがよろしくお願いします! (2019年8月18日 9時) (レス) id: e53dcff47d (このIDを非表示/違反報告)
鈴木結衣(プロフ) - 続き楽しみです! (2018年9月13日 17時) (レス) id: 27e27da5f6 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 読んでみて面白かったです。更新しないんですか? (2018年4月7日 11時) (レス) id: 984f627d8c (このIDを非表示/違反報告)
藍pon(プロフ) - これからどんな展開になるか楽しみです!これからも頑張ってください! (2018年1月1日 1時) (レス) id: 86b2651b30 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うるる | 作成日時:2017年9月25日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。