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第1話 ページ4

出会いは、中等部の入学式だった。



 兄さんたちと一緒に初めて中等部の校舎に足を踏み入れた。



 紅葉組の教室と、有一郎兄さんの教室、無一郎兄さんの教室も兄さんたちに教えてもらって廊下を歩いていた時だった。



 ふと、何かに導かれるように振り向いたんだ。
呼び止められたわけでもない。でも何か懐かしい感じがして。



 目に入ったのは長身に、白銀の髪をした男性。
十中八九何かの教師なのだろう。あんなに大柄なんだし体育かな?とか呑気に思っていたら、ぱっちり目が合った。

「……A?」
 名前を呼ばれた。
なんだか懐かしい感じ。この声、知ってる。私が時々見る夢の……。そう考えたらずきずきと強く頭が痛み出した。


「記憶がないんです、」
 そう説明する無一郎兄さんの声が遠くに聞こえる。
私は思わず頭を抱えてしゃがみこんでしまった。頭が割れるように痛い。
有一郎兄さんに背中をさすられ、支えられながら立った。無一郎兄さんが、まるでさっきの先生から守るように私の隣に立つ。




 先生の表情は、無一郎兄さんの背中に遮られて見えなかった。

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作者名:すぴか。 | 作成日時:2023年1月10日 10時

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