よーん ページ5
「そのキーホルダー、真人くんとお揃いらしいですね。水族館で買ったものだとか。」
鞄に付いている少し大きいきらきらとしたキーホルダー。青の液体が入っており、陽の光に当たれば輝いた。
「はい、そうなんです。他のもの色々悩んでいたくせにこれみた途端『これがいい!』なんて言って…。」
「きっと一目惚れだったのでしょうね!」
「えぇ、なにもこの中に入っている水色と桃色のいるかが真人とママみたいだ、らしくて…、それからおそろいを買うのが楽しいのか、今日も夕方にショッピングモールへお買い物に行くんです。本当に、嬉しいですね……。」
目を伏せて口角を上げる姿はまさに『母親』であった。少し話せばだいぶいつもの調子を戻したが、鞄を見ればハッとして眉を垂らす。その鞄からキラッと光るものが見えた。
「そろそろ時間ですね……。では先生、真人のこと、よろしくおねがいします。」
「はい、責任持ってお預かりさせていただきます。
お母様も、何かありましたらいつでもご相談にのります。朝食は何しようか、ということから、真人くんの可愛い姿の話までなんでも聞きますから!」
「……ふふ、ありがとうございます。では行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい!」
「ママー!行ってらっしゃい!今日楽しみにしてるね!」
「……っうん、ママ頑張ってくるね!」
ママが仕事に行くことに気が付いた真人くんは保育室から大きく手を振りお見送りする。
その後ろ姿を真人くんは、ずっと見つめていた。
「……ねぇねぇ真人くん。」
「なぁに?Aせんせー?」
「幼稚園終わったらママとお買い物に行くんだってね。楽しみ?」
「うん!すーっごく!……でも、いけるか、わかんない。」
「え?どうして?」
「だってママ……、ねるまえからへんなの。まえのママになったみたい。」
「前のママ……。」
今日は真人くんにもお話を聞きたい。
少し胸騒ぎがするのだ。でも今話すのは違う。
だからその前に……。
「よいしょー!」
「わっ!Aせんせーびっくりしたー!」
「先生のお膝においで。少し一緒に先生と遊んでくれる?」
「うんいいよ!」
膝に乗せて脇にすっと体温計を挟み、お熱を測る。
たまにこれを嫌がる子がいるから遊びながら測れるように工夫する。大変ではあるが……。
37.1℃。今のところお熱は大丈夫そうだ。
「さーてみんな、お片付けのお時間だよ!できるかな〜?」
「「はーい!」」
今日も1日が始まります。
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瑠衣(プロフ) - 深夜さん» 拙作をご覧いただきありがとうございます。申し訳ないのですが、私の方ではトラブル回避のためそういった事は行っておりません。よってpixivでの投稿はご遠慮いただけると幸いです。ご理解の程よろしくお願いいたします。 (2022年11月28日 22時) (レス) id: 8996d6d5d2 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - ロシナンテ。さん» ご一読下さりありがとうございます。そ、それは……笑 名前が「なるみ」の方もいらっしゃいますものね、考えていませんでした……だいぶ個性的なお名前で素敵です笑 (2022年11月28日 22時) (レス) id: 8996d6d5d2 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - pixivで書いてもよろしいでしょうか?名前、タイトル変えます (2022年11月25日 12時) (レス) id: 880b7bddc6 (このIDを非表示/違反報告)
ロシナンテ。(プロフ) - 名前が成海だから名前がだいぶ面白いことに笑笑 (2022年11月24日 13時) (レス) @page1 id: 7c91679d8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠衣 | 作成日時:2022年11月18日 6時