よんじゅうに ページ44
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≪それでは、赤団から順に女子による応援合戦が行われます。≫
そこからはあっという間で、全員一生懸命だった。
練習通り、精いっぱいやり切った後の達成感はすごかった。
「お疲れさま!!」
「つかれたぁ」
「あっという間だったねぇ」
「ね、写真撮ろうよ!」
他の団も終わって、いろんなクラスの女子が混じって騒いでた。
もちろん私も多少は。
「A、棗、こっち向ーいてっ」
『ん?』
パシャリ。
振り向くと、そこにはスマホを構えた万里がいた。
やられた……
『写真撮るなら言ってよ…』
「不意打ちの方が自然体じゃん?」
「普通に撮ってええ?」
「いいよ、撮ろっ」
「ほらぁ、Aも!」
そう言って手を引かれ、二人に挟まれて笑顔を作る。
作る、というか自然と笑っていた。
なんだか青春みたいだなぁ、なんて他人事のように思いながら。
「じゃあ着替える前に赤団集合〜!!写真撮るよ〜!」
少し離れたところから、団長のよく通る声が響く。
行こっか、と誰からともなく三人で小走りで向かった。
練習をし始めたときよりずっと距離が近くなった先輩たちと肩を並べる。
何度かのシャッター音がしたあと、各自が散り散りに教室へ着替えに行った。
「ねえ、A」
『うん?』
私も、と棗の背中を追いかけようとしていると、後ろから万里に声をかけられ立ち止まる。
『なに?』
「応援団さ、最初はいやいやだったじゃん」
『そうだったね』
「やってみて、どうだった?」
優しくて暖かい瞳で、ゆっくり語り掛けられる。
『最初こそいやだったけど、今はやってよかったと思う。楽しかったよ』
「そっか!」
なら良かった!と言い残し、万里は先輩たちについていった。
……なんだったんだろう?
けど、思い返してみれば本当にやってみてよかったと思う。
もちろん楽しかったし、万里と仲良くなるきっかけにもなった。
恥ずかしかったけれど。
まだ書き込まれて間もない記憶のページを捲りつつ、足を速めて教室へ向かった。
これもまた、書き込まれてゆく。
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翡翠琥珀(プロフ) - 四つ葉@甘エビ食べたいさん» え、ありがとうございます(泣)作者は夜行性なので深夜更新多めですが、このままだとわりと長引きそうなので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2020年8月16日 22時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
四つ葉@甘エビ食べたい - コメント失礼します!凄く良い作品です!作者様が大丈夫でしたらどんどん長編にしてほしいです!体調とかに気をつけて更新頑張ってください!応援してます! (2020年8月16日 19時) (レス) id: 4ad016d14c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - 月さん» 私もそれ思います……てかAtRがどっちもかわいい…ありがとうございます! (2020年8月16日 16時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - そらるさんかわいいなぁ!?私に女子力くれよ!!(((って思いました← どうなっていくか想像できないから楽しみにしてますね! (2020年8月16日 9時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 一緒に泣いてくれるなんて心強いっっ!!(←何言ってんだ) (2020年8月12日 23時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠琥珀 | 作者ホームページ:いつか作ります。いつか。
作成日時:2020年7月21日 15時