【歌い手】僕だけの、放課後せんせー【ｍ.ｆ.ｍ.ｆ】

にじゅうろく ページ28

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「へえ…結局相手は誰だったの？」


少し興味を示したのか、読み終えたあとに聞いてきた。


『それが今も分かってないんだよ』

「え？」

『この人は生涯自分の好きな人を隠し通したの』


ほぇー、すごいね、などと感想を述べる。
以前よりは興味が出た様子。こうやって歴史的背景も絡ませて教えると覚えやすい。
もう少し続けてみよう。


『私の好きな歌の話はこれでおしまい。なんとなく理解出来た？』

「Aの教え方、すごい分かりやすい！ちょっと楽しいかも」

『まふは日本史とかできるから、こうして歴史的背景と絡ませて覚えたらいいと思う。少し別の話をすると、』


教科書をパラパラと捲り、明治時代辺りの文学を探す。
指で辿っていると目当ての文字を見付けた。


「…“二葉亭四迷”？」

『この人のペンネームの由来がおもしろいんだよ。周りの人にムカついて、「くたばってしまえ！」って思って』

「…え、そこから名前が付いたの！？」

『そう。ね、こうしたら楽しく覚えられるでしょ？』


そう言うと、まふはコクリと頷いた。

ああ、教えるのって楽しいかも。理解してくれるの、すごく嬉しい。
楽しい、って言ってくれたまふの顔が私の頭から離れなかった。



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