にじゅういちてんご ページ23
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今俺たちの瞳には、微笑み合う男女が映っている。
俺“たち”というのは、サッカー部員四名のこと。
一人目。
俺、折原千良、一年生。
背中を押した張本人なのだから見るのは当たり前だろう。
二人目。坂田優、一年生。
大好きな人と大好きな友達が想い合っていることが複雑、と言った表情。
三人目。宇都宮万里、一年生。
応援団が一緒になったのがきっかけで仲良くなったらしい。ただ仲良くなりたいだけのようで害はゼロ。Aのまふに対する想いに気付いたようで、嬉しそうな顔。
四人目。月崎志麻、二年生。
最近になって中学の頃から好きだったことが発覚。そらるさんとAがくっついて、それでも諦められなかったらしい。
想いが複雑に絡み合った空気を破ったのはキャプテンの声だった。
「おーい、お前ら生きてんのか?」
『失礼やな、志麻くんと坂田はともかく僕と宇都宮ちゃんは生きてますー』
「はぁ!?おれだって生きてるし!現にほら、ボール蹴ってるし!?」
「まーしぃは?」
ぼんやりと佇む志麻くん。その背中はどこか寂しそうに見えた。
「ん?あー、しますします」
「いくら俺たちが弱いからってサボんじゃねーぞー」
『はーい。あ、宇都宮ちゃん』
「ん?」
声をかけると髪を揺らして振り向くマネージャーさん。顔は整ってるよな。センラ好みではないけど。
『Aの気持ちとか、その辺気付いた?』
「あ〜、Aは相川くん、坂田くんと志麻先輩と相川くんはAでしょ?」
わかりやすすぎ、と笑う宇都宮ちゃん。やっぱ本人以外は分かるもんやな。
「Aすごい鈍感だから大変そうだね」
『せやから俺、ちょっとAの背中押してん』
やから、と言葉を続けようとすると宇都宮ちゃんは察したように口を開く。
「私も手伝えば良いんだよね?」
『宇都宮ちゃんが鈍感やなくて助かるわ』
「Aは重症」
あはは、と二人が歩いて行った方向を眺めつつ顔を見合わせる。
中々に宇都宮ちゃんは頭がキレる人のようで助かった。これは心強い。
あの二人はじれったいからな。坂田と志麻くんはまぁなんとかするやろ。
宇都宮ちゃんに軽くお礼を言って、またグラウンドの土を踏みしめた。
____
明日から学校な(のに宿題がほぼ終わってない)ので更新速度落ちます。しばしお待ちを。
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翡翠琥珀(プロフ) - 四つ葉@甘エビ食べたいさん» え、ありがとうございます(泣)作者は夜行性なので深夜更新多めですが、このままだとわりと長引きそうなので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2020年8月16日 22時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
四つ葉@甘エビ食べたい - コメント失礼します!凄く良い作品です!作者様が大丈夫でしたらどんどん長編にしてほしいです!体調とかに気をつけて更新頑張ってください!応援してます! (2020年8月16日 19時) (レス) id: 4ad016d14c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - 月さん» 私もそれ思います……てかAtRがどっちもかわいい…ありがとうございます! (2020年8月16日 16時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - そらるさんかわいいなぁ!?私に女子力くれよ!!(((って思いました← どうなっていくか想像できないから楽しみにしてますね! (2020年8月16日 9時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 一緒に泣いてくれるなんて心強いっっ!!(←何言ってんだ) (2020年8月12日 23時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠琥珀 | 作者ホームページ:いつか作ります。いつか。
作成日時:2020年7月21日 15時