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各ユニットがそれぞれの部室で練習を始めだした学院の放課後…
あの光輝く太陽は西に傾き空をオレンジ色に染め始めた
今日予定していた軽音部の活動も
彼の体調不良のせいで急遽なくなった
理由は、軽音部室の棺桶の中で寝泊まりしている
彼の横で楽器を鳴らすのは身体に障るかも知れないと部員たちが聞かなかったのだ
一応軽音部の部長で零は構わないと言ったのだが断固として聞き入れなかった
それからしばらく寝床で大人しく横になっていたが
1人であそこにいても色々思いつめてしまうので
この慣れ親しんだ誰もいない廊下を歩いていた訳だが……
「Amazing! これはこれは、
珍しい方に会えましたねぇ!
やはり世界は驚きに満ち溢れています!!
お久しぶりですね!零」
手元からポンポンとバラを出して会えて嬉しいと表現する変人…
《我輩もおぬしに会うと思っておらんかった…
久しいのぅ日々樹くん》
お絵かき帳にスラスラと書き会話をつなぐ
このノートも大神が買ってきてくれたものだ
そして、目の前にはなんともこの場の雰囲気に合わない、驚きと愛を求め自由奔放に羽ばたく日々樹渉がいた
彼とはかつての悪友、良き理解者だった男
そんな関係を過去形で終わらすにはあまりに惜しく、しかしこれで良かったのだと言い聞かせている
「おやおや、風の噂で耳にしましたが
本当に喉を潰されたようですね」
《むぅ、体の不調は人なら誰にでも起こりうる。
じゃがこれは我輩にも対抗できんからのぅ
》
「はて、あなたは喉の不調ではないのですか?」
彼は首をひねり質問を投げかけた
日々樹にはこの言葉の違和感に気づいたようだった
《さすがに気づくか…》
はあ、と声の出ないため息をついて
その下に文字を書き足す
《すまんが、これから少しの間
我輩に協力をしてくれんか》
すると彼はさっきまでのにこやかな
笑顔とは裏腹に今度は真剣な顔つきになっていった
「………あなたには昔、共に名を馳せていた悪友として思い入れがあります」
彼はとても静かに語った
「当時、私の歩みに合わせられる者などいなく孤独だった私にあなたは…あなた達はもっと自由でいていいと言ってくれた
嬉しかったのです。単純にね
所詮、私も人の子だったということです」
その道化師の瞳には寂しさが映っていたが
口元は笑っていた
まるでピエロの仮面のように…
「いいでしょうあなたに力を貸します
この道化師、日々樹渉に騙せない事などないのです」
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作者名:シロクマ | 作成日時:2017年4月13日 19時