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「はァ?アイドルが喉潰すとか何やってんだよ…
だいたいこんな棺桶なんかで寝てたら
そりゃ風邪でも引くに決まってんだろ」


《風邪ではなく喉を潰したんじゃが…》


「一緒じゃねェか。ったくほら飲みかけの
スポーツドリンクならあるけど飲むか?


…ったくそこら辺のコンビニで
のど飴とかゼリーとか
買ってきてやるからおとなしく待ってろ」


風邪だと勘違いをしている晃牙は
我輩の静止も聞かず、テキパキと看病してくれた


《ワンコがいつになく優しいのぅ
我輩感激して涙が出そうじゃ》


手を目の下に当て泣き真似をすると
調子に乗るな!
とスポーツドリンクを投げつけられた


あのバカ思いっきり投げたな…


そして、彼は財布だけ持つと
じっとしてろよ
とだけ言って足早に部屋を出ていった


「(こういう日も悪くないな)」


愛おしい後輩が自分のために飛び出してくれた事に
なぜか名残惜しい気もするが


あの優しい大神なら今頃走って向かってくれているのだろう


飲みかけのドリンクを手に取り
蓋を開けひとくち口に含んだ…が、


「(…っ!!?ゲホッゲホッ)」

ドリンクが器官に入り思わず咳き込んだ
だが、咳き込む声は出なかった









代わりに口からこぼれ落ちたのは









淡いピンクに甘い匂いを放つ数枚の花びらだった









「(!?……これは…)」


花吐き病…


晃牙に気を取られてすっかりその存在を忘れていた。
そしてそれと同時に信じられなかった。


そう言う奇怪な病があるとは噂で知っていたが
周りにそういった奇病にかかった人物は
見たことがなかったし稀だと思っていた


まさか自分がなってしまうとは…


「(片思いの病、か……)」


自分の顔に苦笑いの表情が目に見える


「(これは…
厄介な病気にかかっちまったなぁ)」

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作者名:シロクマ | 作成日時:2017年4月13日 19時

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