【悪女主】裏表二人【S.o.u】【リメイク版】

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私と爽は、お互い、面倒くさいごたごたを避けるため……そして、裏の顔が露見しないようにも、学校ではあまり関わらないようにしている。
さっき話しかけてきたのは朝で人がほとんどいなかったから。普段の学校生活ではまずない、至極珍しいことだった。

高校入学時からずっとそれを守ってきているおかげで、5月の半ばを過ぎた今でも、周囲の生徒や先生に爽と仲が良いことは知られていない。


そして、これは姉に関しても同じことが言える。

姉が私を避けるようになってから、私たち……主に姉は周りに、姉妹だということを隠し始めた。

幸いなことに、顔の作りがあまり似ていなかったため、「たまたま苗字が同じだけの他人です」の一言で容易に誤魔化すことができた。
呼び方も「お姉ちゃん」から「夜城先輩」に変えた。

そして、親が姉の小学校卒業以来海外にいたこともあり、中学が違った私たちは至って簡単に隠すことに成功した。


何故ここまで拘って隠すのか＿＿理由は至極単純で、お互いがお互いを嫌っているからだ。

いつかはこうして姉が失敗して騒動になることは目に見えていたことで、それに巻き込まれるのも避けたかったし、何より嫌いな相手と仲良しこよしをするメリットは毛ほどもない。
姉にも何かしらの理由があったのだろうけど、それは私には関係ない話だった。

何より……



姉はまだ、私の裏の顔には気が付いていないのだから。
きっと今でも、私に好かれている……そう思い込んでいるはず。


私が姉のことをどう思っているか、なんて全く考えずに、

「自分を周りに良く見せたい」
「自分の裏の顔がバレたくない」

という身勝手な理由で、私に姉妹であることを隠す、という提案をしてきた。
当時中学1年生だった私が、信じてしまいそうな適当な理由を付けて。


本当に私が姉のことを好いていたら、こんなに隠すことに協力するはずがないのに。
変な勘違いをしてくれているおかげで、家では私のことを嫌っていないかのように接する。
そして、私も姉に裏の顔を決して悟られないよう、「嫌い」という感情を殺して接する。

真実を知っている者から見たら、それはそれはあほらしく、滑稽に見えるだろう。
しかし、私にとってこれは至極重要なことである。


理由はただ一つ。







＿＿＿＿大っ嫌いな姉を潰すため。

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